2014年08月19日

(19)鉢伏合宿雑観

 先週は勝手にこのコラムを休載しました。一応は「夏休み」ということです。しばらく更新が滞ったので、ご心配をおかけしましたが、今週から再開します。
 もっとも、本業の新聞社はお盆の15日以外はフル操業なので、老兵(僕のことです)もフル稼働。それにこの夏は、ある雑誌から頼まれて、ちょっとしたレポートをまとめていたので、それにも時間を取られ、結局は一日も休んでいません(このレポートについては、日の目を見たときにあらためて紹介させていただきます。短い文章ですが、結構、力が入っています)。
 という次第で、鉢伏の合宿に行ったのも16日だけ。これまた大学の仕事で超多忙な小野ディレクターと日帰りで往復してきました。
 ところが、日ごろの行いが悪いせいか、当日は朝から雷がやまず、午前の練習は中止。午後の練習は少し早めて、当初に予定したスケジュールを実施することが出来ましたが、夜はまた大雨。福知山市や丹波市を中心に大きな被害の出た激しい雨が降りました。夜、僕らが帰る途中も稲妻が光り、大粒の雨が車にたたきつけていました。
 でも、考えてみれば、16日はあの平郡雷太君の命日です。11年前、この地で合宿中に亡くなった彼が「俺の気持ちを忘れるなよ」と天上から盛んに雷鳴をとどろかしていたのかもしれません。あるいは懐かしくなって稲妻を光らせていたのでしょう。
 当時と同じ「かねいちや」の、いまは人工芝になったグラウンドの入り口の机の上には合宿中、「平郡雷太、FIGHTERSとともに」というプレート(いつも試合会場に持ち込まれているプレートです)が置かれています。練習の前には、全部員がそこに刻まれた文言を読み、プレートに一礼してからグラウンドに降りて行きます。それは、上ヶ原の第3フィールドの山桃の木の下にある記念碑の文言を読み、一礼してからグラウンドに降りるのと同じです。
 チームが一番苦しかった時代に、そのチームを背負って、余りにも短い命を燃やし尽くした先輩の気持ちを忘れない。その思いを受け継ぎ、さらに発展させていく。当時はまだ小学生だった部員が、そんな気持ちを日々新たにするために、合宿地にきても、この文言を読み、拝礼しているのです。
 さて、合宿の模様です。
 9日間の合宿も後半に入って、さすがにみんな気合いが入っています。空は雨模様。高原の気温は真昼でも23度から25度。体を動かすには最適です。普段の年なら、熱中症を警戒しなければならないのですが、今年はその心配はほとんどない。予定されたスケジュールがてきぱきと進んでいきます。チームタイムでは、攻守のメンバーが互いに対抗心をむき出しにして、同じチームの練習とは思えないほどの激しい当たりを繰り返しています。
 例えば、こんなシーンがありました。オフェンスラインの一人がQBのコールを聞き間違えたのか、不用意に飛び出した瞬間、QBの斎藤君が手にしたボールをその選手のヘルメットに投げつけたのです。
 「何やってるんだ!」という怒りの表現だったのでしょう。普段は温厚で笑顔を絶やさない彼が、そこまで激しい感情を表したのは、初めて見る光景でした。
 内容は省きますが、その日の練習を総括する鷺野主将の言葉にも迫力がありました。それぞれ、4年生が背負ったものの大きさを物語って余りある場面であり、この合宿にかける4年生の気持ちの表現でした。
 こういう気持ちのこもった練習を見ていると、グラウンドの端っこにいる僕でさえ、気持ちが高ぶってきます。しかし、選手たちはさらに「もっと厳しくやれ、ここで変わらんかったら、いつ変われんねん!」と鬼気迫る口調でゲキを飛ばしています。
 さらに刺激的な場面も繰り広げられたのですが、それはチームの機密ということで省略します。とにかく時間は短くても、みんなが集中して取り組んでいたというのが僕の感想です。今年も期待できるという印象を持って帰宅しました。
 もうひとつ、付け加えて起きたいことがあります。前回のコラムに書いたことと重複しますが、この合宿にも大勢のOB、OGが顔を見せてくれたことです。とくに練習台を務めてくれる若手OBが多いことを心強く思いました。16日に僕が言葉を交わしただけでも、2010年度卒の平澤君や村上君、11年度卒の松岡君や佐藤君、それに鳥内兄弟も遠く熊本と東京から駆けつけてくれました。
 聞くところでは、04年度卒の石田貴祐君や08年度卒の深川君、11年度卒の川端君らも顔を出してくれたそうです。懐かしい面々がこの「かねいちや」のグラウンドを懐かしく慕わしい場所として集まってくれるのです。本当にありがたいことだと思いました。
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2014年08月04日

(18)懐かしく慕わしい場所

 8月。1日を待ちかねたようにチーム練習が再開された。いよいよ本番である。
 久々に上ヶ原の第3フィールドに顔を出すと、驚くほど多くのメンバーが練習に励んでいた。これまでは別メニューだったフレッシュマンがチーム練習に加わってきたからだ。けがをして別メニューのトレーニングを強いられていたメンバーの多くも、8月に照準を合わせて復帰している。選手、スタッフ合わせて200人を超す部員がグラウンドに揃った姿は、さすがに壮観である。
 練習を見守るコーチも増えた。専従の鳥内監督と大村コーチ、それに大学の職員を務めながらコーチをされている面々はこれまで通りだが、週末はアシスタントコーチとして何人ものOBが顔を出している。以前からおなじみの島野コーチや野村コーチに加え、最近は97年度卒の高橋コーチ、07年卒業の韓コーチ、08年度卒業の坂戸コーチらが常時、練習に参加し、それぞれQB、TE、LBのメンバーの動きをチェックしている。
 加えて、今年は留年している5年生が大勢来てくれている。春先からずっと練習に参加し、厳しく後輩を鍛えている池永、友国、上沢、長森、梅本、足立君らに加えて、先週末は雑賀君や森君が顔を出してくれた。それぞれ就職活動が終わり、前期試験もクリアして、気持ちに余裕が出たからだろう。社会人1年生の池田君も、すっかり銀行マンの顔になって参加してくれている。
 この日はほかに、近年、マネジャーや主務を務めていた面々も次々と顔を出した。12年度卒の鈴木君、09年度卒の三井君らである。
 ジャージに着替え、防具をつけて参加したOBは練習台を務めるつもりだし、練習着に着替えていないメンバーは練習後、それそれのパートの後輩たちを激励する目的で集合したのだろう。
 毎日の生活に忙しいOBたちが休みを利用して、第3フィールドに戻ってくる。そういう人たちが近年、どんどん増えている。自分たちが汗を流し、時には涙を流して鍛えあってきた懐かしい場所。自分たちを育ててくれた愛おしく慕わしいグラウンド。そこに戻って、後輩たちに胸を貸し、練習を手伝う。分析やチーム運営について、後輩たちが悩みを打ち明ければ、真剣に助言し、力を添える。そういうことが「ごくごく当たり前の風景」になってきたのである。
 記憶をたどれば、ほんの10年前、いや5年前でも、こんなにOBたちが集まってくることはなかった。アシスタントコーチの肩書を持ったメンバーはもちろん、熱心にグラウンドに顔を出し、練習を見守ってくれたが、それ以外の5年生や若手OBが「関西出張の途中、時間ができたので」とか「ちょっと休暇がもらえたので」とかの理由をつけてグラウンドに帰ってくることが「普通」になったのは、ここ数年のことだ。
 それだけ、最近のチームには求心力が強くなっているということだろう。チームに愛着をもって卒業するメンバーが増えたということでもあろう。
 ライバルチームの卒業生がどういう状況にあるのかは、知るすべもない。同じ関西学院でも、ほかのクラブの卒業生が卒業後、チームとどのように付き合っておられるかも知らない。だから、自分たちが巣立ったチームに対して、どれほどの愛着を持っておられるのかも知りようがない。
 はっきりしているのは、ファイターズの卒業生の多くが自分たちを育ててくれたチームを愛おしく思い、自分たちを鍛えてくれたグラウンドを懐かしく、慕わしいと思っていることだ。そういう先輩たちに見守られ、励まされているのがファイターズというチームであるということだ。
 グラウンドに顔を出す、練習台を務める、そういうことだけでなく、ファイターズの卒業生は、卒業後もいろんな形でチームに関わり、それぞれの形でチームを支援してくださっている。就職活動の支援、クラブに対する多種多様な差し入れ。安くはないOB会費の納入率が8割に達するという実績を見ても、卒業生がこのチームに寄せる熱い気持ちが伝わってくる。
 数字では測れないことではあるが、こういう多種多様な「支援する気持ち」の根っこにあるのがファイターズの求心力である。その「求心力」は毎年、毎年のメンバーが必死懸命に努力し、自らを鍛え、強いチームを作り上げてきた結果として育まれてきた。
 人はそれを伝統と呼ぶのだろう。ファイターズとはそういう伝統を持ったチームである。その伝統に新たな価値を付け加えるべく、鷺野主将を先頭に200人の部員が2014年夏の練習をスタートさせた。存分に悔いなく鍛え、シーズンにそなえてもらいたい。
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2014年07月25日

(17)真夏の勉強会

 暑い!今日も朝から気温は30度を超し、すぐにも35度を超えそうな勢いだ。
 家にエアコンは備えているが、あの原発事故以来、自分一人の時は、冷房も暖房も使わない(ついでにいえばテレビも見ない。紀州・田辺の家ではテレビそのものを放逐してしまった)。だから、頼りは窓から入って来る風だけ。今も短パンとシャツ一枚でパソコンに向かっている。
 しかし、さすがに暑い。ムキになって熱いコーヒーを飲み、自分にむち打ちながらこのコラムを書いている。
 そんな暑さの中で、学生諸君はいま、前期試験の終盤戦。彼らもムキになって試験の準備をし、日々難しい試験と格闘している。グラウンドに出掛けても、大学生の姿はほとんど見掛けない。大半の単位を取り終わっている4年生がミーティングをしているぐらいだ。8月1日から始まる真夏のトレーニングを控えて、いまはひたすら勉強に専念しているようだ。
 勉強といえば、スポーツ推薦でファイターズにチャレンジしてくれる高校生にとっても、今が追い込みの時期だ。推薦入試には小論文試験があるので、リクルート担当マネジャーの西村君やアシスタントディレクターの宮本さんが世話をして、その勉強会を毎週、続けているのである。
 夕方、それぞれの学校の練習が終わった後で西宮市に集まり、これは冷房の効いた教室で毎回、800字の小論文を書く。
 講師は不肖、私が務めている。小論文とはどういうものか、採点する人はどういうところに注目して点を付けるのか、自分の思ったこと、考えたことをどのようにして文章にすればいいのか、というようなことについて、分かりやすく説明する。書きあげた小論文を添削し、それぞれに講評を書き込む。大学の授業でやっていることを、そのまま高校生に向けてやっているようなものだ。
 問題は、勉強会の回数である。高校生はあちこちから集まって来るので、週に何回も開催できない。それに、夏休みには長期の合宿もある。願書の締め切りが早いので、志望理由書を書くなどの出願手続きも並行して進めなければならない。何より、彼らのにはすぐに秋の大会が控えている。それぞれがチームの主力選手なので、勉強会だからといって、そうたびたびチームを離れるわけにはいかない。だから、短期集中で教えるしかない。
 だが、小論文の指導も、フットボールの指導と同じで、二つ三つポイントをアドバイスすれば、それで完了、という性格のものではない。もの考え方、社会に対する関心の持ち方、さらにいえば、人生観とか、哲学とか、そういうもろもろがあって、そこからにじみ出してくること、噴出してくることを掬い上げるのが文章を書くということ。そういう奥行きのあることを「ハウツー」で教えようというのだから、はなから無理がある。
 大学生の場合、前期、後期とも、10数回の授業があるので、いろんな課題が出せるし、授業を通じた交流も進む。その結果、授業が終わる頃には、学生たちもある程度の自信というか、手応えを持てるようになる。
 それを半分以下の時間で手にしてもらおうというのだから、結構難しいミッションである。しかし、高校生たちには「ファイターズでアメフットをしたい」という強い動機がある。これがエネルギーになっているから、勉強会には全員が集中して取り組んでくれる。その気持ちがあるから、たとえ回数は少なく、時間も短くても、勉強会の効果は決して小さくない、と僕は思っている。
 この勉強会は、平郡君と池谷君が高校3年生の時からスタートしたので、今季でもう16年目になる。その間、少ない年でも5人、多い年には10人以上、合計すると100人以上の高校生と接してきたが、時代が移っても彼らの「ファイターズでフットボールをしたい」という気持ちには、少しの変化もない。それどころか、最近は関東方面の高校生を含め、自ら志願してファイターズの門を叩いてくれる高校生が増えているので、学習意欲という点では、全く問題ない。その意欲をより高めるために、少しばかり油を差すのが、僕の仕事である。そう思うと、暑さの中、勉強会に向かうのも苦にならない。
 さあ、今日も夕方から勉強会だ。早めに行って、冷房の効いた教室で本を読みながら、高校生が集まるのを待つことにしようかい。
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2014年07月18日

(16)直木賞のことなど

 親友の黒川博行さんが直木賞に決まった。日本のエンターテイメント小説の書き手の中では屈指の手練れだが、なぜか直木賞には縁がなく、これまで5回も候補に挙がりながら、受賞を逸してきた。
 けれども、今回の「破門」は、これまで以上に完成度が高く、僕は候補作に決まった時点で「今季の直木賞はこれで決まり」と、本人にも言い、周囲にもそれを公言してきた。誰よりも早くお祝いの気持ちをと、選考会当日に届くようにお祝いの品も贈った。
 予想通りだった。選考会のある17日の夕方は、甲東園の駅近くで関西学院の先生たちがつくるサークル「アメフト探検会」の集まりに参加させてもらっていたが、食事中にそのうれしい知らせが届いた。最初は黒川さんの奥さんから、続いて受賞作の装丁をしているブックデザイナーの多田和博さんから、さらに親しくしている文藝春秋の常務やうちの娘からも電話が入った。
 黒川さんの奥さんと言えば、僕が紀伊民報に掲載しているコラムを集めた「水鉄砲抄」の表紙の絵を描いてくれている日本画家だし、その本の装丁をしてくれているのが多田さんだ。多田さんはファイターズのホームページに書いているコラムを集めた「栄光への軌跡」の装丁を、いつも無料で引き受けてくれている。
 そういう、何かと縁のある仲間が作った本が直木賞に輝いた。うれしい。目出度い。思わず「めでた、めでたぁの、若松さぁまぁよう」と歌い出したくなるほどだった。
 実は、今でこそ僕は、ファイターズに血をたぎらせる「困ったおっさん」だが、その昔、朝日新聞社で記者をしていた頃は「大阪本社で一番の読書狂」として知られていた。新聞紙上に毎週1回、勝手な気ままな書評を10年以上も連載していたし、内藤陳さんが率いる「日本冒険小説協会」の熱心な会員でもあった。僕が担当していた書評で「今年の直木賞は『マークスの山』の村薫さんで決まり」と出版直後に断言し、それが当たって、周囲から驚かれたこともある。
 70歳を目前にして、読書量はさすがに少なくなったが、それでも年間200冊以上は読んでいる。その読書が書く力を養い、考える力を鍛えてくれる。
 僕はいま、週末には関西学院大学の非常勤講師として、学生たちに小論文の指導をしているが、その根っこにあるのがこうした狂ったような読書の習慣と新聞記者としての熟練である。こうした経験があるから「自分の考えを深めること」「その考えを文章によって相手に伝えること」「そのためには、論理的な思考力を養わなければならない」なんぞという、およそ大雑把な授業でも、みんながまじめに聞いてくれるのである。
 友人の直木賞受賞から、僕の読書体験、そして小論文指導と話は拡散するばかり。いっこうにファイターズのコラムにはなってこない。われながらあきれ果てた話だが、もう少しおつきあいを願いたい。必ずファイターズの話に引き戻します。
 閑話休題。
 小論文指導の話を続ける。春学期も秋学期も、最後の授業では必ず「この講座を受講して」という題で、学生たちに授業の感想を書いてもらうが、それを読むと、学生たちがいま何を求めているかがよく分かる。
 彼らの求めていることをひとことでいうと、それは成長の実感である。春学期、彼らは文章を書くことに取り組んだ。はじめは書くことに自信がなかったが、何かのきっかけで「あっ、そうか。こう書けばいいんだ」というような実感を手にする。その実感を手にすると、次には見違えるような文章を書いてくる。成長の実感が自信になり、自らの内に秘めていた能力を開発することにつながるのである。
 その際、大事なことがある。先生が言うだけの人なのか、それとも実際に手本を見せられる人なのか、ということだ。
 例えば先日の授業では、福井地裁で画期的な判決があったのを受けて「原発について考える」という課題を与えた。学生たちはテレビで聞いたことなどを基に、苦しみながらなんとか60分間の制限時間内に800字の小論文を仕上げた。けれども、自信を持って書ききったという顔をしている子はほとんどいない。
 そんな彼らに翌週、同じテーマで僕が新聞に書いたコラムのコピーを配布した。「君らに書けというだけでは、説得力がない。だから僕も同じテーマに挑戦し、それを新聞のコラムに発表した。これを読んでいただければ、僕が添削したり、講評を書いたりしていることにも、多少の説得力は出てくるでしょう」という注釈付きである。
 すると、学生たちはなるほど、とうなずいてくれる。「同じテーマなのに、自分の小論文は欠陥だらけ、ところが先生の書いた文章は易しく書いているのに説得力がある。文章も読みやすい。この違いはどこにあるのか」「自分も先生の書くような文章が書いてみたい。がんばろう」ということになる。
 「学ぶ」は「真似」ぶ。身近に手本があれば、成長のきっかけをつかむ機会は多い。きっかけをつかめば、目標が具体的に意識できる。成長を実感した瞬間に道が開ける。そういう循環である。
 まるで、ファイターズの選手、スタッフの成長の軌跡と同じではないか。身近に手本を探し、それを真似ながら鍛錬する。何かで、成長の手応えをつかんだら、それがさらなる成長のエネルギーになる。選手として飛躍するのも、文章を書くのも、その意味では全く同じである。
 以上、今回は私事ばかりで、まことに恐縮だが、親友の直木賞受賞という慶事に免じてご寛恕を。
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2014年07月12日

(15)驚愕の数字

 タッチダウン誌8月号を見て驚いた。驚愕(きょうがく)といってもよい。
 そこには、ファイターズの強さをさまざまな数字で見てみよう、というタイトルでいくつかのデータを掲出。その中に、卒業生の「著名企業400社への就職率」というデータがグラフで示されていた。大学通信社が会社規模や知名度、大学生のランキングなどを参考に毎年発表している著名企業400社への就職率ランキングでトップになった大学と、ファイターズ卒業生の就職率を比較した結果、この4年間、連続してファイターズの方が上回っていたのである。
 就職率のトップになった大学は、2009年度が慶応大の47・1%、10年度が豊田工業大の65・8%、11年度が一橋大の52・0%、12年度が同じく一橋大の54・5%。それに対してファイターズ卒業生の就職率は09年から順に79・3%、69・0%、66・7%、70・5%であり、すべての年でトップ校を上回っていた。つまり人気企業への就職率の良さで天下に知られている慶応大や一橋大をはるかに凌駕(りょうが)する成績を、われらがファイターズの卒業生は毎年、毎年収め続けてきたのである。
 驚愕というしかない。
 実は、この数字についてはファイターズOB会の機関誌「ファイト・オン」4月号に、ディレクターの小野宏さんが「なぜファイターズは就職に強いのか」というタイトルで詳しく分析した原稿を掲載されている。OBの皆さんにとっては周知のことになるが、未読の方も多いと思うので、改めて紹介したい。
 「大学通信」の「著名企業400社への採用者の比率」でみると、関西学院大学のこの4年間の平均は26・1%、体育会卒業生の平均は41・8%。これに対してファイターズ卒業生は70・8%である。大学全体の就職率が高い慶応大や一橋大でラグビー部やアメフット部の学生たちが、これら400社からどのような評価を受けているのかは分からないので「就職でもファイターズが日本1」と言い切る自信はない。けれども、著名企業が関学の一般学生に比べて3倍近い評価をしている事実は動かない。思い切り自慢してもいいことだと断言したい。
 もちろん、世間で名の通った企業に就職することが人間としての価値に直結することではない。人にはそれぞれの生き方がある。小さな家業を継ぐことも大事なことだし、世のため人のために奉仕するのも尊い生き方である。地方の新聞社で、地の塩のような働きをすることだって立派な仕事である。
 そういうことを十分に承知した上でいうのだが、なぜファイターズの学生たちは名の通った企業から高く評価されるのか。
 これも小野ディレクターの原稿から引用させてもらう。正社員を採用するに当たり企業が重視する「仕事に対する意欲、熱意、向上心」「積極性、チャレンジ精神、行動力」「チームワークの尊重」「コミュニケーション能力」「社会常識やマナー」「ルールを守る」という能力に優れていると評価されているからだろう。
 小野さんの論考では、こうした能力はアメリカンフットボールという競技自体が内臓しているものであり、この競技でトップを目指す以上は、自らが鍛え、養っていくべきものであるという。
 具体的には、体を鍛え、プレー能力を向上させていくと同時に、プレーごとの改善点を議論する。その対応策を見つけ出していく中で、部員の論理的思考、批判的思考、数量的な思考能力、問題発見・解決能力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力が鍛えられていく。さらに「就職試験の面接以上に苦しい」監督との個別の面談で自分を見つめなおし、上級生、下級生が「日本1」という同じ目標に向かって精進する中で、コミュニケーション能力やリーダーシップ、フォロワーシップが養われていく。
 さらにいえば、そうした後輩たちを支援するOBの存在も大きい。就職を直接あっせんするというのではなく、さまざまな形で支援しましょうという組織や人材があちこちにある。卒業生とチームの風通しの良さ、という数値化しにくい分野でも、アドバンテージを持っているのである。
 ファイターズは、そういう構造を内包したチームである。人は変わり、時代が移っても不断の努力でその構造を維持し、発展させ続けているチームである。だから人は育っていくということだろう。
 こうしたファイターズの構造を一言で表しているのが鳥内監督のいう「ガキが男になる場所」である。そこで育ったファイターズのメンバーに、将来を担う優秀な人材を常時、求めている企業が注目するのは、当然といえば当然である。
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2014年07月03日

(14)監督の目

 上ヶ原の第3フィールドで行われるJV戦の楽しみの一つは、相手ベンチの様子がすぐ近くで見られることである。ベンチに戻った選手の一挙一動が間近に見られるし、彼らを叱咤したり、元気づけ、励ましたりする監督やコーチの大きな声も丸ごと聞こえる。
 ファイターズのベンチでは、日頃、そういう大きな声を聞く機会がほとんどないから、聞いていて「これがチームの文化の違いか」と思わされることも少なくない。
 ではJV戦のとき、ファイターズのベンチでは、どんなことが行われているのか。監督やコーチは普段、何をしているのか。今回はそれをテーマに書いてみたい。
 攻撃と守備の指示を出すコーチは、もちろん忙しい。攻守交代の時はもちろん、選手が出入りするたびにあれこれと注意や指示を出すのは、普段の試合と同様である。スポッター席から大きな声で指示が飛ぶこともある。けれども、選手交代などは主として4年生とアシスタントコーチが行うし、元々が勝敗そのものににこだわる試合でもない。
 監督やアシスタントヘッドコーチは、一見、気楽に試合の進行を眺めているようにように見える。ところが、それにだまされてはいけない。監督やコーチは、普段の試合以上に真剣にチームの動向をチェックし、個々の選手の動きに目を配っている。普段、試合に出る機会の少ない下級生や故障上がりの選手を大量に出場させて、実戦で彼らがどのような動きができるのか、あるいはできないのかをチェックして、今後の指導の参考にしようとしているのである。
 ファイターズは、今年も50人以上の新入部員を獲得した。昨年入部した2年生とあわせると100人を超すフレッシュなメンバーがいる。当初は全員にチャンスを与え、体重や筋力数値をクリアした部員から順にチームの練習に加えていく。チーム練習の中で、彼らがどんな能力や可能性を持っているのか、それを見極めることは可能だが、試合になると、日頃の練習で見えてこないことがいろいろと見えてくる。
 当たりの強さやスピードはもちろん、相手との駆け引きや瞬間瞬間の判断力、実行力は、見る目のある人なら即座に見極められる。いまは未熟でも、可能性のある「未熟」か、それとも成長の余地があまり期待できない「未熟」なのか。フットボール選手に不可欠な闘争心や自分の役割に対する忠誠心も、試合の中でこそ見えてくる。その見極め。けがなどで出場機会の少なかった4年生や3年生がどこまで回復しているか。勝負勘は衰えていないか。けがを理由に、練習を手抜きしていたようなことはないか。そんなことまでが一つのプレー、一つの動作でチェックできる。日頃から、気の遠くなるほどの時間、練習につきあい、練習や試合のビデオを見続けている監督やコーチの目は、部員や観客が想像している以上に鋭い。
 その片鱗は毎回、試合後の監督コメントなどからも、ちらっとうかがえる。関学スポーツが伝える甲南大戦後の監督コメントにも「今日の試合で互角の勝負をしていた選手は、秋では交代メンバーになれない」「口だけで試合に出たい、といって、努力できていない選手は、もっと責任をもってやらなければいけない」という言葉があった。
 怖い言葉である。少し言葉を足して説明してみよう。最初のコメントは「相手チームに、1部レベルの選手がいたことを割り引いても、2部の選手と互角に渡り合っているようでは、1部の厳しい試合には通用しない」ということだし、2番目の言葉は「口先だけの選手はいらない。責任をもって努力する選手にのみ可能性が開ける」という意味であろう。
 大阪学院大との試合は70−0、甲南大との試合も36−0。ともに、スコアの上では圧勝である。2枚目といわず、3枚目、4枚目、場合によっては5枚目の選手まで投入した「見本市」のような試合であったが、それでも監督やコーチの目は「口先だけの選手」「努力しない選手」をチェックしているのである。ベンチで大きな声で叱ったり喝を入れたりするコーチや監督よりも、こういう厳しい目を持った監督やコーチの方がはるかに怖いということがお分かりいただけるのではないか。
 しかし、ここまで厳しく選手の動きをチェックしているということは、同時に可能性を持った選手、努力、向上の跡が見られる選手についても、必ず「記憶に叩き込んでいる」ということである。その「記憶」が選手の可能性を引き出す手がかりとなり、気が付けば秋のリーグ戦でも1部の強敵とも存分に渡り合える選手が育っている、という仕組みになっているのがファイターズである。
 JV戦といえども、見どころは満載、という意味は、こういうところにもあるのである。
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2014年06月25日

(13)新戦力の見本市

 ファイターズホームページの写真集が面白い。今日アップされた写真では、大阪学院との試合で目の覚めるようなプレーをした新しいメンバーが顔を揃えている。
 登場順に並べて行くと、DB小椋(1年、箕面自由)、DB杉本(2年、足立学園)、QB百田(1年、高槻)、TE蔵野(岸根)、WR芝山(2年、市西宮)、RB高松(1年、箕面自由)、RB山本智(1年、立教新座)、LB石川(1年、啓明)、RB西村(1年、啓明)、QB木村(1年、高等部)、DB山本泰(2年、高等部)、DL三木(1年、高等部)の12人。全員、ファイターズの試合をずっと追いかけているプロ写真家の目に留まったプレーをこの日の試合で披露した選手ばかりである。
 小椋はDBとして、相手チームで一番能力の高そうな選手に再三、厳しいタックルを見舞い、ビッグゲインを一度も許さなかった。杉本は登場機会は少なかったが、それでもこの試合唯一のインターセプトを決めた。百田は、186センチの長身から繰り出す長いパスで再三、スタンドを沸かせた。17回投げて12回成功。パスだけで212ヤードを獲得し、4本のTDパスを通している。1年生のデビュー戦としては上々だろう。
 TE蔵野も187センチ96キロ。4年生のWR樋之本やTE松島にも引けを取らない体格で、身のこなしも軽い。いかにもアスリートという動きを見せ、27ヤードのTDパスを含む3本のパスをキャッチ。1年生の時はけがで出遅れており、この日が事実上のデビュー戦だったが、ずっと試合に出ている選手のような動きに驚かされた。
 彼ら以上に驚愕の動きを見せたのが先発したRB二人。高松と山本智である。高松は166センチ、68キロ。小柄だが、恐ろしく俊敏な動きで10回走って129ヤード。TDこそなかったが、50ヤードを超す独走もあって、大いにスタンドを沸かせた。山本智は171センチ、81キロ。スピードがあって当たりが強い。まっすぐ突進するだけではなく、相手守備の動きを見ながら、手薄なところを一気につく判断力もあって、大いに頼りになる選手である。この日は11回走って70ヤードを獲得したが、何と言っても4回のTDランが光る。残り5ヤードくらいならいつだって涼しい顔で走り切ってしまうのだから、相手にとっては厄介な選手だろう。
 写真集には紹介されていなかったが、WRの前田泰はこの試合でも2本のTDパスをキャッチしたし、キッキングチームのリターナーとしても登場した。昨年夏、アシュランド高校との試合では、関西選抜のメンバーとして小椋とコンビを組み、強力な2枚看板で相手を困らせていたが、その二人が今度は同じファイターズで一緒にリターナーを務める。共にスピードがあって身のこなしも軽いから、今後4年間、リターンチームにとっても強力な武器になりそうだ。
 目立たないラインでも期待の面々が登場した。OLでは井若(1年、箕面自由)がスタメンで出場、交代で出た中井(1年、関西大倉)とともにタフなところを見せた。DLでは関大戦などにも出場している三木が素早い動きを披露。一足先にVのメンバーとして活躍している藤木(1年、高等部)とともに、秋には先発陣の一角に食い込むのでは、という予感さえ抱かせた。
 そしてもう一人、僕のような素人が見ても的確な動きをしていたのがLBの松本和(1年、関西大倉)。ボールキャリアのいるところには必ずといっていいほど寄り付き、相手を確実に仕留めていた。いつも冷静な動きをしていたDBの横山(1年、大阪学芸)とともに、今後の成長が大いに期待できる新人である。
 こんな風に、今回のJV戦で活躍した選手を挙げていけばきりがない。2年生にも試合経験は少ないが、期待の持てる選手がいっぱいいる。キッカーの西岡(足立学園)やDBの真砂(高等部)らはその代表。西岡はキックに確実性と安定感が出てきたし、真砂はタックルが強い。試合途中、相手リターナーを一発で仕留めたと思ったら、その直後、3プレー連続でボールキャリアにタックルを決めた。都合、4回連続のタックルなんて、見た記憶がない。
 ここに挙げたのはしかし、大阪学院戦で活躍したメンバーばかり。今週末の甲南大戦では、彼らを含め、さらに多くの選手が活躍してくれるだろう。チーム内の競争が激化してくると、若い素材はどんどん伸びる。そうなると、いまは試合に出ていない上級生を脅かすような選手も出てくるだろう。楽しいこと限りない。こういう新戦力の見本市のような試合が、関西学院の第3フィールドで無料で観戦できる。本当にありがたいことだ。
 追記
 先日のJV戦では、ファイターズのOBを中心に構成する審判団が前半、後半ともに、しばしば「ウオータータイム」を告げ、選手にヘルメットを脱いで水分補給するよう促していた。午後4時の試合開始とはいえ、梅雨時は蒸し暑い。熱中症に注意を払い、健康管理を促す審判団の判断は、選手にとっても観客にとっても、とても大切なことを教えてくれた。感謝の気持ちを込めて特別に記しておきたい。
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2014年06月18日

(12)今年の漢字

 今日は2カ月ぶりに眼科の診察日。夕方、早めに勤務を終えて病院に向かい、順番を待つ。待合室のベンチから雨にけぶる山並みを眺め、考えるのはファイターズのこと。まだJVの試合が二つ残っているが、自分なりに春のシーズンを振り返ってみた。
 さて、今年はどんな漢字が象徴するチームになるのだろうか。これを思案していると、近年、甲子園ボウルで勝ったチームのことが次々と浮かんできた。
 2007年、岡田主将が率い、QB三原君が最高のパスゲームを展開した時は、4年生が懸命の努力を続けた。選手層はお世辞にも厚いとは言えなかったけど「ラインは家族や。一心同体や」といって結束を固めたオフェンスライン。QBとレシーバー陣はいつも、練習が始まる2時間以上前からグラウンドの中央を独占してパスキャッチの練習。三原君の投げるパスをレシーバーの秋山、榊原、岸、萬代君らがひたすら追いかける。シーズンが深まるにつれて、ほとんど落とす場面はなくなったが、それでも失敗した時は自発的に腕立て伏せ10回。彼らの求道者のような練習ぶりは、見ている方まで背筋が伸びるような気がしたことを思い出す。
 この年のチームを漢字一文字で表すとすれば、努力の「努」であろう。
 2011年、松岡主将が率いたチームはどうか。彼らは3年連続、甲子園ボウル出場がかなわなかった学年だったが、主将の松岡君と副将の長島君を中心とした幹部の統率力でチームを牽引した。その統率力は、練習や試合の時はもちろん、日常の取り組みの中でも存分に発揮された。
 チームに貢献した部員にプライズシールを与えて、その功績を顕彰し始めたのはこの学年からだし、下宿生の栄養補給を目的に朝食会が定例化されたのも、この年からだ。大学職員の昼休み時間にコーチの部屋を訪ね、そこでミーティングをするようになったのもこの年からだし、単位の取得が滞っている部員を対象に補習授業を始めたのもこの年だった。僕もちょこっと協力させてもらったから、その一端を承知しているが、学習面で自信をつけたことで、プレーヤーとしても飛躍的に伸びた選手が間違いなく存在した。
 もちろん、練習や試合でのリーダーシップも異彩を放っていた。練習中、グラウンドの真ん中で、松岡君と長島君が本気で殴り合いそうになった場面を目撃した僕は、そのとき「彼らは本気だ。絶対に甲子園に行く。日本1になる」と確信した。
 そういう統率力のあるリーダーたちが率いたチームである。この年の漢字は「統率」しか考えられない。一字で表現すれば「統」である。
 2012年、梶原主将が率いたチームは、梶原君の存在感が圧倒的だった。率先垂範。主将がいつも先頭に立って戦い、士気を高めた。チーム浮沈のカギを握るDLの柱として、常に戦いの先頭に立ち、闘志をむき出しにして相手に襲い掛かった。味方にすればこれほど頼もしい選手はいないが、相手にすれば、これほど厄介なやつもいない。それは先日、パナソニックのDLとして、QB斎藤君に襲い掛かった姿を見た人はすべてが思い知ったことだろう。
 実は、梶原君だけではない。この年のRBには、望月君という突貫小僧がいた。闘志むき出しで相手に当たり、跳ね飛ばすことに快感を覚えるという、これまた相手にとっては厄介な選手だった。そう思ってこの年のメンバーを思い浮かべてみると、WRの小山君、和田君、QBの畑君、TEの金本君、LBの川端君、DLの岸君や前川君。相手を飲んでかかった選手の名前が次々に思い出される。
 そういう意味では、この年の漢字は闘志の「闘」で決まりだろう。
 そして昨年、池永主将が率いたチームはどうか。努力もリーダーシップも闘志も、それぞれ素晴らしかった。けれども、それがこれまでに挙げた3年のチームをさらに上回るかといえば、そうでもない。
 主将池永君、副将の池田君、友国君、鳥内君の顔を思い浮かべながら、彼らに似合う言葉を探してみると「信頼」という言葉がふさわしいように思えてきた。関西リーグ最終の立命戦を思い浮かべてみると、それは理解してもらえるだろう。
 相手の守備力と当方の攻撃力、当方の守備力と相手の攻撃力。決定的な決め手を持っている相手のキッキングチーム。そして当方は全勝で迎え、相手は1敗しているという条件を冷静に把握すれば、戦い方もおのずから決まってくる。「相手に点をやらなければ勝てる」「勝つためには、相手をFG圏内にも進めてはいけない」。そういうミッションをもって守備陣は懸命に踏ん張った。
 その象徴的な場面が第2Q終盤、自陣ゴール前23ヤードで相手にボールを奪われた局面で表れた。相手の第一プレーはパス。ジャンプしたLB池田君が指先でちょこっと触れ、少しコースが変わったところをLB吉原君がカット。大きく跳ね上がったボールをDB大森君がすっぽりと腕に抱え込んでターンオーバー。もし、最初のプレーでFGを狙われていたら確実に3点を奪われた場面を、守備の3人の連携で見事に断ち切ったのだ。
 オフェンスもまた、少しでも守備の負担を少なくするようにとラインが結束。陣地を進めた。4年生レシーバーは3年生QBをとことん信頼し、困ったときは俺に投げてこいといい続けた。QBもそれに応えて果敢に攻め続けた。その結果が0−0の引き分け。負けなかったファイターズは堂々と甲子園に歩を進めた。
 こういうチームである。仲間を徹底的に信じて戦った彼らには「信頼」、一字で表せば「信」の字が一番似合うのではないか。
 あの場面、この場面と回想しながら、あれこれ考えていると、病院の長い待ち時間はあっという間に過ぎ去った。
 さて、鷺野主将率いる今年のチームには、どんな漢字が当てはまるだろうか。それはこれからの彼らの取り組みにかかっている。夏に鍛え、木枯らしが吹く時期になっても、全員が自らを高め続けることができれば、その答えは出る。
 僕はひたすら、後々まで語り継がれるようなチームを創造してくれることを願っている。
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2014年06月09日

(11)課題が見えた

 学生会館の中にあるファイターズボックスの外壁に掲示板がある。マネジャーからの連絡事項や服装などの注意事項などが適宜張り出され、必要に応じて更新されている。
 先週、たまたま通りかかったとき、その掲示の一枚を見た。今季、チームがスローガンに掲げている「挑戦」ということについて、胸に響くことが書いてあった。ざっと目を通しただけだから、詳しい内容は記憶していないし、誰が書いて張り出したのかも聞いていない。それでも、内容がしっかりしていたこと、気持ちがこもった文章だったことは印象に残っている。
 おぼろげな記憶を手がかりに、その趣旨を思い出すと@挑戦とは、昨日までの自分とは違う自分を求めて自発的に努力することであるA新たなことにチャレンジした結果、たとえそれが失敗に終わったとしても、それはとがめないB失敗を恐れて昨日と同じことに甘んじているやつ、そんなやつはチームには不要である……というようなことが書いてあった。
 この掲示は、ファイターズの全員が読み、心にとどめているはずである。
 僕は、この掲示板にあった「挑戦」という一点に注目して日曜日のパナソニックとの試合を観戦した。全員が「挑戦」を体現できるかどうか。社会人の強さと速さに直面して、自分を見失うような振る舞いはないか。練習でチャレンジしていることを社会人の強豪相手に100%発揮できるかどうか。春のシーズンの総仕上げとして、現状で考え得る最高のメンバーをそろえて臨んだ試合は、僕にとって見所満載だった。
 結果は、よい知らせと悪い知らせの両方だった。
 よい知らせから報告しよう。まずは守備陣の健闘が光った。1列目、2列目、3列目が互いに連携して、重くて速い相手のラッシュを何とか食い止めた。決定的な独走を一度も許さなかった点だけを見ても、相手にずるずると進まれてしまったライスボウルとの違いは明らかだった。チームメートから絶対的な信頼感を寄せられている相手QBの動きに対しても臆することなく1列目がラッシュをかけてラインを割り、LB小野や吉原がボールキャリアを仕留める。DB田中や小池が思い切りよく切れ込んでタックルを見舞う。第2Q半ば、ゴール前まで攻め込まれ、第4ダウン残りインチという場面があったが、それを見事に食い止めた場面が、守備陣の結束した取り組みを象徴していた。
 悪い知らせは、前半、オフェンスが何度もチャンスを逃がしたこと。せっかくRB鷺野、橋本のランとWR樋之本、横山らへの短いパスで陣地を進めながら、決定的な場面で2度のパス失敗が響いた。学生相手には面白いほど通っていた斎藤のパスが2度ともうわずり、チャンスを得点に結びつけられなかったのだ。
 決めるときに決めなければ、相手は勢い付く。逆に味方は消沈する。悪循環が始まる。前半、味方守備陣がせっかく第4ダウンの攻撃を防いだのに、その直後に相手守備陣にパスを奪われ、インターセプトTDを決められたのがその象徴だった。
 勢い付いた相手守備陣はその後、再び、斎藤に襲いかかり、強烈なタックルでファンブルを誘い、それを拾ってそのままTD。そういうど派手なプレーを演じたのが、昨年までアシスタントコーチとして、ファイターズを指導してくれていた梶原君。昨シーズン、斎藤の目を見張るような成長ぶりを直近で見てきた人物だけに、彼自身も複雑な心境だったろうと察するに余りある。
 斎藤自身は試合後のインタビューに「ディフェンスは踏ん張っていたのにオフェンスが足を引っ張ってしまって悔しい。ライスボウルの時より自分のレベルは落ちている。秋はこんなことがないように自分が中心になってやっていきたい」(以上、関学スポーツより)と答えている。この思いを胸に刻んで取り組んでもらいたい。
 しかし、悪い話ばかりではない。特筆すべきは、今春、大活躍の2年生や1年生がこの日も怖めず臆せず、存分に奮闘したことである。相手ラインの壁に果敢に突進し、確実にヤードを稼いだRBの橋本、後半、思い切り腕を振ってパスを連投し、最後にWR木戸にTDパスを成功させたQB伊豆、そしてこの日も1年生とは思えないパスラッシュを見せたDL藤木。それぞれが社会人の強豪を相手に、堂々と戦った。これこそが掲示板にある「挑戦」だと、見ていて胸が熱くなった。マンツーマンで見事なカバーをしながら、パスが飛んできた瞬間に相手レシーバーにするっと交わされ、悔しい思いをしたこの日が初登場のDB小椋を含め、1、2年生がこの試合を糧に、どんどん成長してくれるのは間違いない。そんな妙な確信さえ抱いた。
 得点は31−7。完敗だったが、今後の取り組みに大きなヒントがもらえたと思えば、腹も立つまい。振り返れば、あの試合が転機になったというような取り組みを今後続けて欲しい。答えは試合後、鷺野主将が飛ばした檄にある。ファイターズの全員が主将の鬼気迫る言葉を正面から受け止め、本気で挑戦してくれることを願っている。
     ◇   ◇
 お知らせが二つあります。
 ひとつは今週木曜日(12日)の午後3時10分から、関学会館2階で開かれる武田建先生の講演会の告知です。タイトルは「関学アメリカンフットボールと私」。第40回関西学院史研究会の催しで、会費は無料、一般参加歓迎、申し込み不要ということです。
 もうひとつは、小野宏ディレクターが大阪市北区中之島2丁目の朝日カルチャーセンター中之島教室で講演される「アメリカンフットボールの本当の魅力」です。これは昨年、1昨年に続く催しで、いまやすっかり人気講座になっています。申し込みの出足は好調ということですので、早めにお申し込み下さい。会費など詳細は朝日カルチャーセンター(06-6222-5222)へ。
 ともにふるってご参加下さい。
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2014年06月04日

(10)人を育てる土壌

 三浦甲太(WR)、吉岡泰造(DB)、秋山武史(WR)、川島康史(DL)、頼本健太(DB)、三木慎也(DB)、稲村勇磨(RB)、小林諒平(OL)、保宗大介(DB)、梅本裕之(WR)、鳥内将希(DB)、吉原直人(LB)。以上、敬称を省略して紹介した各氏に共通するものは何か。
 「みんな男前」と答えた人は正解。と僕は思っているが、人によって男前の基準は異なる。「蓼食う虫も好き好き」という言葉もある。中には「みんながみんな男前と言うのは言い過ぎだろう」と突っ込んでくる人もいるに違いない。
 では「みんな勉強がよくできた」というのはどうか。たしかに上記の中には、卒業時の壮行会で「文武両道に優れていた」として表彰されたメンバーが何人もいる。成績に対する要求が厳しい総合政策学部や理工学部で立派な成績を収めた部員もいる。わが母校、三田学園の後輩もいる。「勉強がよくできた」といいたいところだが、全員の成績を知っているわけではないから、これを正解にする自信はない。
 正解は、上記の全員がフットボールの未経験者で、大学に入ってからフットボールを始めたこと。努力して自らを向上させ、幾多の試合で活躍して多くの人に名前を知られる存在になったこと。それを証明するように、全員が2004年から2013年までのイヤーブックに「未経験者の言葉」とか「未経験者インタビュー」とかのテーマで紹介されていることである。
 もちろん、上記の12人はフットボールは未経験だが、高校時代は野球やサッカーなどをやっており、運動能力は入部当初から目立っていた。けれども、フットボールは経験のスポーツ。ルールを覚えるだけでも大変だし、プレーの理解力も必要だ。なにより常時、日本1を競ってい争っているチームである。求められる水準は高い。高校時代から、あるいは中学校、小学校から経験しているメンバーに、スタート時点では大きな差をつけられているのが普通である。
 そういう状態からスタートし、自らを鍛えてチームの主力となり、数々のビッグゲームで活躍する。全日本級のトップアスリートと対決して、一歩も引けを取らない。そんな部員が毎年のように現れ、ファイターズ史に名前を刻んで卒業していく。
 昨年の甲子園ボウル3連覇は、梅本君と鳥内君の貢献なしには考えられなかった。2007年、QB三原君が率いるチームが「史上最高のパスゲーム」(小野ディレクター)を展開したのも、俊足、大型のWR秋山君の活躍なしには成り立たなかった。華やかな活躍をした選手だけではない。「最強のスーパーサブ」(鳥内監督)として、OLを支えた小林君のような存在もいる。
 こういう部員を育て、一人前の人間にしていくところにこそ、ファイターズの底力があり、魅力がある。僕はそう思っている。
 今更のように、こういうことを言うのには、理由がある。最近、ほかの体育会活動に参加している学生から、何度か「ファイターズは雰囲気がいいなあ」とか、「練習を見ていても、全員が即座に集まり、全員が声を出している。うらやましい」とかの声を聴いたからである。
 入部した時は、経験者も未経験者も平等。スポーツ推薦で入学した部員だからといって特段の優遇はしない。人数が多いときは適宜班に分けるが、基本的には同じメニューで走りものや体幹トレーニング、パスキャッチなどの練習をさせる。上級生の練習についていくための体力的な基準をクリアした1年生から順に上級生の練習に加えていく。そういうことが「当たり前」になっているファイターズの運営が、ほかのクラブの部員たちからみると「羨望の的」になっているのだ。
 フットボールは競技者の人口が少ない。高校のチーム数は少ないし、年間の試合数も限定されている。だから日本で古くから普及している競技とは底辺の広さが違う。当然、未経験者と経験者の力の差も少ない。だから、大学に入ってからフットボールを始めた人もスムーズにチームに溶け込める。実際、関西リーグでは、未経験者の割合が多い国公立のチームがスポーツ推薦で入学した部員を数多く抱える私学チームと対等に戦っている。
 そういう事情を割り引いても、ファイターズが毎年、未経験者をチームの柱に育てていることの素晴らしさは減点されることではない。鳥内監督の言葉を借りれば「未経験者の力を借りないと、勝てませんよ」ということだが、チームに推薦組を特別に優遇したり、未経験者を差別したりすることはない土壌があるからこそ、人が育つのだろう。
 今年のチームにも、いまは堂々のリーダーになったLBの吉原君をはじめ、3年生や2年生には、一日も早く経験者に追いつき追い越せと頑張っている部員が何人もいる。ストイックに自分を追い込み、1年前とは体つきも行動も見違えるようになった未経験者もいる。1年生は顔と名前がまだ一致しないが、ここにも将来が期待される未経験者が何人もいるそうだ。
 そういう選手の成長に注目して試合を見ると、フットボール観戦はまた一段と楽しくなる。こういうチームにこそ寄付をして応援したい、という気持ちになる。
posted by コラム「スタンドから」 at 16:25| Comment(0) | in 2014 season

2014年05月28日

(9)金色の若葉

 とうとうやってしまいました。25日の関大との試合で、ファイターズが開設したFMラジオ局の「ゲスト解説」を担当してしまったのです。
 試合会場にお見えの方は、もうとっくにご存じと思いますが、ファイターズは昨年から試合会場だけで聴取できるミニFM局を開設し、試合の進行に沿ってゲームを解説しています。司会進行は小野宏ディレクター、解説とゲームのリポーター役は91年卒の片山昌人氏と94年卒の小川原秀哉氏。ときおり本職のアナウンサーがゲスト出演してくださることもあります。
 こういう専門家集団の中に、なぜ門外漢の僕が顔を出したのか。それは当日、大学の職員として、どうしても職場を離れることができなかった小野さんから「代わりにゲスト出演を」というご下命があったからです。つまり「枯れ木もにぎわい」「刺身のつま」。特段の期待はしていないが、ひょっとして何かの役に立つかもしれない、という思惑が働いたのでしょう。
 ほかならぬ小野さんの依頼です。わが身の非力を顧みず、喜んで引き受けさせていただきました。でも、解説なんて、何を話せばいいのかわからない。この世に生を受けて70年。標準語でしゃべったこともない。朝日新聞で働いていたころに、何度か朝日放送の番組に出たことはあるけど、事前の打ち合わせに基づいて用意してきた話をするだけ。目の前で進行している試合の解説なんてどうすればいいのか、と一瞬思案に暮れました。
 そこで旧知のアナウンサー、由紀ちゃんのブログを見て「適切な感情表現の仕方」をチェック。「困ったときは大阪弁」「無理に標準語で話す必要はない」という文章を見つけて、一安心。「そうか、ベタベタの大阪弁でプロ野球の解説をされている福本豊さんを見習えばいいんだ」と割り切りました。
 放送が始まると、進行役の片山さんが話を振ってきます。
 「今日の試合で、どんな選手に期待していますか」
 いきなりやな、と一瞬戸惑いました。でも、実況放送です。考える間もなく、口が勝手にしゃべっています。
 「2年生に注目したいですね。試合ごとに成長している選手がたくさんいますから」
 すかさず片山さんが「具体的にはどんな選手ですか」と突っ込んできます。こちらは見事な標準語。まるで本職のアナウンサーのような調子です。
 「そうですね。今日の先発メンバーに名前を連ねているRBの橋本君、OLの松井君。レシーバーでは、この2、3試合、見事な働きをしている芝山君や水野君、それに藤原君にも注目です」
 「ディフェンスではキッカーを兼任しているLBの山岸君。それにDLの安田君、彼は今日もスタメンですね。さらにはパング君や大野君、福田君。彼らはみな2年生同士で競い合うようにして成長していますよ。DBには小池君がいますが、彼は昨年から試合に出ているから、もう2年生とは思えませんね。山本君もがんばっていますよ。冬の間の走りモノでは、いつも2番目にゴールしていました。一番はチーム切ってのアスリート、田中雄大君ですが、彼はいつもそれに次ぐ二番手でした。努力家だと思いました」
 「1年生にも注目して下さい。今日は3人が登録されています。DLの藤木君、三木君、そしてWRの前田君。藤木君は高等部の主将をしていましたね。練習でも素早い動きが目立ちます。出番があれば、きっといいところを見せてくれるでしょう」
 「そうそう、いま名前を挙げたなかには入っていませんが、何と言ってもQBの伊豆君が注目ですね。春の試合を任されて、試合のたびに力をつけています」
 こんな調子で放送がスタート。後は試合の進行に沿って、経験豊富な片山さんと小川原さんが本職以上に味のある放送を展開してくださった。
 ゲスト解説者としては、最初に名前を挙げた2年生や1年生がどんな活躍をしてくれるかに注目するだけ。彼らが期待通りに活躍してくれたら「さすがは石井さん。日頃からしっかり選手のことを見ている」と共感してもらえるし、期待外れなプレーぶりだったら「あのおっさんの目は節穴やな」といわれます。このコラムの信用にもかかわるかもしれません。
 「これはやばいぞ。頑張ってくれ!2年生、1年生」。解説も上の空。祈るような気持ちで試合を見ていました。
 結果は、見事に予想が的中。当初、名前を挙げるのを忘れていたKの西岡君、TEの杉山君らを含め2年生が驚くほどの活躍をしてくれました。
 エースQB斎藤君の後を受けて第3Qから登場したQB伊豆君は、DB田中君の好リターンで得たチャンスをたった3プレーでTDに結びつけました。その後もWR芝山君に44ヤードのTDパス。これは文字通りピンポイントで、投げた方も確保した方も「お見事」というしかないプレーでした。
 得点場面に絡んだ2年生の名前を挙げていくだけでも、立ち上がりに32ヤードのFGを決めた西岡君、前半斎藤君から計算され尽くしたTDパスをキャッチした杉山君、再三、豪快なラッシュを見せ、第4Qには中央をついてTDを決めた橋本君と2年生の名前が並びます。ついでにいうと、橋本君は強力な相手守備陣を引き裂いて、この日も82ヤードを走っています。水野君は見事なパスキャッチで52ヤードを獲得しており、ともにチームで一番の成績を挙げました。
 山岸君は、相手ゴールラインをはるかに超すキックを何度か披露してくれましたし、本業のLBとしても元気なプレーを見せてくれました。安田君も試合経験を積むごとに動きがよくなっていますし、小池君は終盤、お約束のようにインターセプトを奪いました。
 そして1年生。数少ない出番でしたが、藤木君がさっそくQBサックを記録。三木君も素早い動きを見せてくれました。前田君は2度パスをキャッチして20ヤードを獲得しています。相手の反則で動きを止められましたが、それがなければTDという場面もありました。
 以上の通りです。急きょ引き受けた素人解説者が名前を挙げた2年生は全員、見事な活躍を見せてくれました。放送の際、名前を挙げるのを忘れた2年生、杉山君や池永君もいい動きをしていました。出場メンバーに登録されてすぐに素晴らしい活躍をしてくれた1年生を含めて、ファイターズの新しい芽は育っています。まだ芽吹いたばかりですが、それはまぶしいほどの光を放っています。金色の若葉といってよいでしょう。
 みんな同じ学年です。今後、試合経験を重ね、互いに競い合って鍛えていけば、金色の新芽が濃い緑となり、存分に酸素を吸収して、ファイターズという大木に生命を注入してくれることは間違いありません。期待に胸がドキドキします。
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2014年05月21日

(8)時計台とフットボール

 関西学院は今年9月、創立125周年を迎える。節目の年に向けて、大学ではいま中央講堂の建て替え工事などが進み、募金活動も佳境に入っている。
 上ヶ原キャンパスの正門を入った正面には、記念式典までの日付を日々更新する「カウントダウン・モニュメント」が設置され、道の両側には125周年と書いた青い旗が何本もはためいている。
 125周年をアピールするそんな事業の一つとして、学院広報室が生協の書籍販売部で書籍購入者に「記念ブックカバー」を無料配布している。デザインは、1回目がKGブルーを基調とした時計台と正面のヒマラヤスギ。2回目が有名な版画家、川西英さんの作品を思わせるような色合いの時計台と甲山。
 そして現在配布中の3回目が学院の創設者、ランバス先生の肖像と時計台である。そこにはヤシの木やカルガモの親子など、キャンパスに彩りを添えるあしらいもある。注意して見れば、ランバス先生の肖像の左下にアメフットのボールが描かれ、その隣にAmerican footballの文字がある。
 関西学院と聞いた時、卒業生や在校生の誰もが思い浮かべるを時計台や甲山、ランバス先生やヒマラヤスギに混じって、なぜアメリカンフットボールのボールが描かれているのか。それがなぜ全体のデザインのなかで、しっくり収まっているのか。
 関西学院には、全国に知られた競技団体がいくつもあるし、文化団体もある。けれども、このブックカバーをデザインした作者は、迷うことなく学生の課外活動を代表するイメージとしてアメフットのボールを描いた。そしてそのボールが全体の構図にしっくり収まって、何の違和感もない。なぜだろう。
 関西学院の課外活動を象徴する団体がアメリカンフットボール部であり、そう呼ばれるのにふさわしい実績を積み上げてきたからだと、僕は決めつけている。念のために広報室に取材し、カバーの真ん中にアメフットのボールをデザインしたことに、ほかの団体から苦情めいたものはきていませんかと聞いて見た。答えは「そんな質問をしてきたのは石井さんが初めて。関学といえばアメフットと、大抵の人は思っているから、別に違和感はないのでしょう」ということだった。
 つまり「関学といえばアメフット」という考え方がキャンパス内で定着しているから、このカバーをデザインした作者も「当然のように」ボールをその構図の中にあしらったのである。
 広報室に居合わせた職員は全員、それが当然でしょう、という雰囲気だったが、よく考えればこれは大変なことである。
 学生はもちろん、世間には多様な考え方がある。スポーツの好きな人がいれば、文化活動に熱中する人もいる。自らはクラブ活動に参加せず、学業やボランティア活動に集中している学生もいる。大学の職員や先生も同様である。みんながみんな、アメフット部を応援しているわけではない。自分の関心事を追うことに忙しく、部活のことなんて知ったことか、と思う人も多いはずだ。
 けれども、そんな人たちを含めて、関西学院といえばアメリカンフットボール、ということに何の違和感も持っていない。すごいことではないか。
 これは1941年の創部以来、営々として築いてきたチームの歴史が学院関係者に高く評価されてきた証しである。清く戦い、勝利者の名を誇りに思い、その名に恥じない品性を持ったチームを営々として築いてきた歴代の選手、部員、指導者がいたからこそ、甲子園ボウル出場48回、優勝26回(引き分け、両校優勝を含む)、関西リーグ優勝53回(複数校優勝を含む)という他に類を見ない成績が残せたのである。
 もちろん、数字だけが評価されているのではない。以下の数行は3年前、アエラの「関西学院特集号」にも書いたことだが、ファイターズというチームの本質を表現していると思うのであらためて引用したい。
 「たとえ戦力的に劣っている時でも、戦術を工夫し、知恵をしぼり、精神性を高めて、いつも力を最大限に発揮するチームを作ってきたのがファイターズであり、戦後、一貫してアメフット界の頂点を争い続けて来た唯一のチームとしての矜持である。関西学院のスクールスポーツとして敬意を払われ、部員たちもそのことに特別の思いを持つ基盤はここにある」
 こういうことである。
 だから、関西学院をアピールする素材にアメリカンフットボールが取り上げられても、誰も違和感を持たず、それが当然と思ってくれるのである。
 現役の諸君は全員、こういう歴史を背負って日々戦っているのだ。そのことを心に刻んで努力し、さらなる高みを目指していただきたい。

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2014年05月16日

(7)括目して見よ

 友人の木工作家にお願いしていた仕事用の机と椅子のセットが届いた。これまでの机は高さが調節できず、根を詰めて原稿を書いていると、どうしても姿勢が悪くなり、肩が凝って仕方なかったので、僕の体型に合わせて特別に作ってもらっていたのだ。
 さすがは熟練の仕事である。椅子の座り心地はいいし、机の高さもぴったりだ。仕事もはかどる。原稿を書いたり本を読んだりする以外の時間にも、ずっと座っていたい気分になる。
 この作家からは、数年前にも別の種類の椅子を購入して使っているが、当時の椅子より今回の椅子の方がはるかに座り心地がいい。職人としての技術が何段階か向上しているのだろう。
 「相当、腕が上がったんと違いますか」。ぶしつけとは思いながら、そこは友人の気安さ。遠慮のない問い掛けをすると「そう言っていただくとうれしい。いつも昨日より今日、今日より明日、という気持ちで取り組んでいますから。ちょっとでも評価されると励みになります」。謙遜の中にも多少の自負を交えた答えが返ってきた。
 その通りである。人間、何歳になっても、何かを手にしたと思っても、それでも「昨日より今日、今日より明日」という向上心を持って取り組むことが肝要である。その向上心と努力が、気がつけば3年前、5年前とは全く違った高みに自分を引き上げている。それは70歳を目前にした新聞記者でも、机や椅子を製作する熟練の職人でも変わることではない。
 もちろん、20歳前後の大学生においては、成長の実感はもっともっと具体的である。3日前に捕れなかったパスが今日は捕れた、3週間前には追いつけなかった相手に今日はタックル出来た、3カ月前には全くかなわなかった相手と今日は対等にぶつかり合えた、そんなことは、まじめに練習に取り組み、試合に集中している人間なら、必ずどこかで実感することである。
 今春のファイターズの2年生たちを見ていると、そのことがよく分かる。QB伊豆(箕面)は試合のたびに成長しているし、4月中旬の紅白戦で、全くといっていいほど活躍できなかったWR陣も先日の明治大学との試合では立て続けにTDを連発した。
 今春、彗星のように登場したRB橋本(清教学園)は、第1Q半ば、グラウンドの中央付近からドロープレーで抜け出したと思ったら、そのまま51ヤードを走り切ってTD。次は相手陣29ヤードでQB伊豆からショベルパスを受けると、そのまま中央を走り切って2本目のTD。
 2年生レシーバーたちも負けてはいない。まずはWR芝山が伊豆からの長いパスをキャッチすると、一気にサイドライン際を駆け上がって80ヤードのTD。続いて水野(池田)が6ヤードのTDパスキャッチ。TDにはならなかったが、WR荻原や藤原、TE杉山らがそれぞれ非凡なところを見せつけ、2年生同士の激しい競争の一端を見せつけた。
 同じことは守備陣にもいえる。とりわけ小野、作道、山岸といったレギュラー陣を温存し、2年生を中心にしたフレッシュなメンバーを次々に起用したLB陣の競争が激しい。松尾(高等部)を中心に幸田(箕面)、元原(関西大倉)の2年生がはつらつとしたプレーを見せれば、3年生の山野や高も負けてはいない。誰もがチーム内競争に勝ち抜こうと懸命にプレーする姿は、感動的でさえあった。
 DB陣の競争も激化している。昨年の先発メンバーとして唯一残った田中は試合には出ないで控え選手のアドバイスに徹しているが、残る面々が上級生、下級生の別なく、入れ替わり立ち変わり登場して、激しいポジション争いを展開している。
 DL陣も同様だ。先発こそ4年生の岡部や国安、3年生の浜が並んだが、ここでも2年生同士の競争が激しい。昨年の試合にも登場した怪力の松本(高等部)は休んでいるが、この日先発した安田(啓明)のほかに、油野(啓明)、パング(横浜栄)、大野(関西大倉)、福田(追手門学院)らが次々と登場、それぞれに目につくプレーを見せてくれた。
 このように、5月に入ってからの龍谷大学や明治大学との試合に登場した2年生の名前を挙げていくと、今年は彼らがチーム浮沈のカギを握っているように思えてならない。それは監督やコーチも同様だろう。だからこそ、昨年まで先発メンバーに名前を連ねていた主力選手をあえてベンチに置き、新しいメンバーにチャンスを与えているのだ。試合で経験を積ませることが、何よりも成長のステップになると信じて、少々の失敗には目をつぶって使い続けているのである。
 ここ数年、ファイターズは「勝負は秋。春はチーム力の底上げ」と思い定めたような取り組みを続けてきた。今年はその傾向が例年以上に顕著である。あえて2年生を中心にメンバーを組み、その能力を引き出そうと工夫しているのがスタンドからでもありありとうかがえる。
 「社会人に勝つというなら、勝てる選手になれ」という鳥内監督の方針が貫徹されているのである。
 選手がそれに応えられるかどうか。
 男子は3日会わなかったら括目(かつもく=目をこすって見ること)して見よ、という言葉がある。真の男は、たった3日会わないうちに目を見張るほど成長しているという意味である。
 関西大学、パナソニック。まだまだ試金石となる試合が続く。そこで「括目して見る」活躍ができるように「昨日より今日、今日より明日」という強い決意で練習に励んでもらいたい。道は開ける。
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2014年05月10日

(6)萌芽

 4日は上ヶ原のグラウンドで、龍谷大との一戦。穏やかな日曜日、母校での無料試合とあって、続々とファンがつめかけた。大学の試合前には、高等部の試合もあったため、会場は文字通り立錐の余地がないほど。僕が知る限りでは、2006年に第3フィールドが完成して以来、最高の人出となった。
 ファイターズは、この日も主力メンバーの多くがベントスタート。先発メンバーに名を連ねた4年生は、オフェンスの月山、油谷、松島、樋之本、ディフェンスの岡部、国安、吉原、国吉のそれぞれ4人ずつだった。
 逆に2年生はオフェンスに5人、ディフェンスに3人が名を連ねた。C松井、WR高田、水野、QB伊豆、RB橋本、DL安田、LB松尾、DB小池という期待のメンバーである。間をつなぐ3年生もOL鈴木、大谷、K千葉、DLM、LB山野、DB伊藤と、昨年まではほとんど試合に出ていない選手が顔をそろえた。
 こうした顔ぶれの中から、一人でも二人でもスタメンで活躍する選手が出てきてほしい。彼らの成長なしにはシーズンは戦い切れない、という監督やコーチの悲鳴と願いがこもった先発メンバーだったといってもよい。
 当然、ファンの目も彼らに注がれる。今季の慶応と日大戦、その前の紅白戦からの戦いぶりを追っている中で、すでに伊豆や橋本のように脚光を浴びる選手が出てきている。その力は関西の1部リーグのチームにも通用するのか。次はだれがヒーローになるのか。この日スタンドに足を運んだ人たちの期待は、監督やコーチの胸中と同様だったに違いない。
 期待は裏切られなかった。OL陣は相手守備陣をなぎ倒すような勢いで走路を開き、QBを守った。ランで226ヤード、パスで270ヤード、計496ヤードを獲得した数字がその力強い攻撃を裏付けている。得点こそ31点にとどまったが、内容的には圧倒していた。
 とくに目についたのが伊豆の成長。正確なパスを樋之本、水野、荻原らのWR陣に次々にヒットさせ、要所要所では自らのラッシュで陣地を進める。「気持ちは熱く、頭は冷静に」という言葉を絵にかいたようなプレーぶりでゲームを支配した。
 パスを受ける水野、荻原、高田、藤原の2年生4人組もよく奮闘した。ほんの3週間前の紅白戦では、パスを落としてばかりだったが、この日は違った。とりわけ水野と荻原は難しいTDパスを見事にキャッチし、今後の成長に期待を持たせてくれた。
 RBでは橋本が紅白戦以来、試合経験を積むごとに成長しているし、LBから転向してきた4年生の西山が力強い走りを見せてくれた。同じくLBから移ってきたばかりの3年生山崎とともに、強い当たりで自ら走路を切り開くランナーとして、今後の成長が大いに期待できる。これに鷺野や飯田といったスピードとカットに非凡な才能を持つメンバーを組み合わせたらと考えると、期待に胸がわくわくする。
 守備陣もよく踏ん張った。弱いと言い続けられたDL陣は相手ラインに圧力をかけ続け、2列目、3列目の選手も決定的なチャンスを作らせなかった。まだ、春の試合とあって、監督やコーチも次々にメンバーを入れ替えてその可能性を試している段階だと思うが、それでもこれまでほとんど目につかなかった山野や松尾、安田といったメンバーが元気なプレーを見せている。DB陣は、この日は出場しなかった3年生の田中以外は全員、顔ぶれが変わったが、小池や山本などフレッシュなメンバーがはつらつとした動きを見せている。
 要するに、秋のシーズンに向けて、攻守とも新戦力の萌芽が見えてきたというのが、この日の試合から得られた収穫である。
 ただし、それはまだ萌芽であって、チームを支える木に成長するまでには、時間がかかる。いまはまだ、仲間の足を引っ張らないようにするのが精一杯というところで、いざというときに「俺に任せろ」といえるプレーヤーになるまでには、まだまだ長い時間が必要だろう。それはこのゲームでも相次いだつまらない反則が象徴している。相手もだチーム作りの途上で、込み入ったプレーを見せなかった試合だったということも考慮に入れる必要がある。
 成長の兆しは見えてきた。けれどもまだまだ試合のなかで学ぶべきことはたくさんあるのだ。その意味で、今週末の明治大学、それに続く関西大学との試合で、今回名前を挙げた選手らがどんな活躍をするか、括目して待ちたい。
posted by コラム「スタンドから」 at 08:09| Comment(1) | in 2014 season

2014年05月03日

(5)魂の故郷

 大型連休とあって、上ヶ原のグラウンドには、新しい卒業生が次々と懐かしい顔を見せている。
 僕は出会うことができなかったが、先日は、今春卒業したばかりのLB池田君や2013年の卒業生、RB望月君が顔を出し、後輩たちの練習台をフル操業で務めてくれたそうだ。今日も、九州の勤務先から帰省した13年卒のWR南本君が顔を出し、チーム練習の開始前からDBの個別練習の相手を繰り返し繰り返し務めていた。
 今年に限らず、ここ1、2年は特に若手のOBが機会を作って顔を出してくれる。昨年暮れは、ドイツで勤務する13年卒のDL前川君が空港から直接、グラウンドに顔を出してくれたし、東京勤務が決まったのでお別れに来ました、といってグラウンドに顔を見せてくれたOBもいる。
 もちろん、ファイターズは卒業したが、就職活動の都合で5年目の授業を受けている面々も、今年は例年になく数多く顔を出してくれている。アシスタントコーチの池永君、上沢君、梅本君、友国君はいま、第1回世界大学選手権日本代表チームの一員としてスウェーデンに行っているが、その隙間を埋めるように最近はDB足立君、OL田渕君、OL長森君らが練習に顔を出し、積極的にそれぞれの役割を果たしてくれている。
 若手OBたちがグラウンドに顔を出しやすい環境が生まれてきたのだろう。
 もちろん、いつの時代のメンバーも、それぞれがファイターズに対する特別な思いを持っているはずだ。良い思い出があれば、嫌な思い出もある。苦しいことも多かったに違いない。プロ野球の金本選手が引退した時のセリフを借りて言えば「しんどいことが7、8割で、喜びや充実感は2割、3割しかなかった。でもその2割、3割を追い続けての野球(フットボール)人生でした」というところだろう。
 でも、いかに苦しいことが多くても、それに負けることなく、自分を追い込み、成長させてきたのがファイターズの面々である。途中で脱落することなく、自らの意思で人間としての力を磨いてきたから、ファイターズの卒業生です、と胸を張って言えるのだ。
 そういう自負を持った卒業生が続々と自分を育ててくれたグラウンドに帰ってくる。そして同じ目標に向かって努力した下級生たちの練習相手を務めてくれる。そんなOBが年々増えている。うれしいことだ。
 社会人になった当座は、自分の仕事を覚えることに追われる。職業人としてのスキルも磨かなければならない。グラウンドに顔を出したくても、時間的、精神的なゆとりがないことの方が多いだろう。家庭を持つ年代になると、家族に対する責任が優先順位の上になる。30歳代から40歳代と年齢が進み、仕事を任されるようになれば、その責任を果たすことに追われる。アメフットどころではなかろう。体力も衰えてくるから、防具をつけて練習台になるなんて、とてもとても、ということにもな
る。
 そんな風に考えると、積極的にグラウンドに顔を出せる時期は限られる。その限られた時間を最優先でチームのために充当する。それを支えるのが「自分を育ててくれたのはファイターズである」という強い思いであ。
 例えば、今春の卒業生たちが卒業文集に綴った文章からも、その一端がうかがえる。自分とチームとの関係を赤裸々に綴った彼らの文章から、人を人として成長させるファイターズというチームの底力が見えてくる。
 例えば主将の池永君は、こんなことを綴っている。「仲間やから本気でなんでも言い合える。厳しいことを言うのは、それは同じ目標を見て、日々取り組んでいるからや。そいつは絶対、それ以上のことができるから、厳しく要求できる。それが一生の仲間や」
 副将の池田君は自分に妥協するな、と次のように求める。「自分が何を成し遂げたいのか、どんなプレーをしたいのかを決め、それを達成するために妥協せず、しんどいことや嫌なことから逃げないでほしい。もし妥協があったり、目をそらして逃げているところがあれば、目標は達成できないし終わった時に必ず後悔する」
 右ひざ前十字靭帯断裂を3度も経験し、そのたびにそれを克服し、オフェンスの支柱として活躍した副将、友国君の言葉も熱い。「けがを言い訳にするな。前十3回切っても復帰して選手としてやれる。たった1回や2回でわめくな。俺が3回切ってもできると証明したから、他のやつもできる」
 そして、もうひとりの副将、鳥内君。「ファイターズでの4年間は本当に価値のあるものだったし、大きく成長できたが、現役はそんなことを一切考えなくていい。どん欲に勝ちを目指すこと。それに尽きる。それが一番価値のあることなのだ」
 それぞれ言葉は異なるが、自分たちとともに戦った下級生たちに「何かを伝えたい」という必死懸命の気持ちがあふれている。
 この4人だけではない。それぞれの卒業生がこういう気持ちを文集に綴っている。上ヶ原のグラウンドに引き寄せられるように顔を出し、下級生の練習を手伝いたい、自分を育ててくれたチームにお礼がしたいという気持ちが駆り立てられるのはよく理解できる。
 そういうメンバーを引き寄せる場所。それが上ヶ原のグラウンドである。そこには人を人として成長させる磁気が流れている。卒業生たちにとっては帰るべき場所、魂の故郷である。
posted by コラム「スタンドから」 at 14:29| Comment(2) | in 2014 season

2014年04月24日

(4)長いハドル

 先週は、今シーズンの初戦。慶応との戦いだった。天気は晴れ。さわやかな風が吹いている。絶好の観戦日和である。
 聞くところでは、相手はこの試合に照準を合わせ、存分に準備をして乗り込んできたそうだ。ファイターズも、今季初めての試合とあって、気合いが入っている。何より両チームはこれまで、いつも見応えのある試合を繰り広げている。今年も好ゲームになりそうだと見込んで、いそいそと王子スタジアムに足を運んだ。
 ファイターズのキックで試合開始。だが、悪い予感はいつでも当たる。LB山岸が相手ゴールまで蹴りこんだボールを確保したリターナーが一気に100ヤードを走り切り、あっという間に慶応が先制。滞空時間も飛距離もあったキックだったが、カバーに問題があったのか、それとも相手リターナーの能力が傑出していたのか、あれよあれよという間に独走されてしまった。
 白状すると、僕は試合前、どこかでこんな場面があるのではないかと危惧していた。まだ新しいチームがスタートしたばかりで、チームとしての練習が足りていないことが、素人目にも歴然としていたからだ。冬季から春先は体の鍛錬と基礎的な動きが中心。チーム練習でも、個々のスキルをアップすることが主眼になっている。より多くのメンバーに機会を与え、新しい戦力の見極めもしなければならない。だから、試合を想定した練習がどうしても不足する。
 そのしわ寄せがキッキングゲームやパスプレー、パスカバーなどの精度に表れてくる。実際、1週間前の紅白戦でも、その問題点は露呈していた。QBが素晴らしいパスを投げても、レシーバーがそれを捕れない。1本目のメンバーが出ているときは目立たないが、攻守とも交代メンバーが出ると、ほころびが出る。ここで決めろよ、というときに決めきれない。
 そういう状態で迎えた初戦である。出番のある選手がそれぞれの力を発揮してくれることを期待しつつ、間違いなく不本意な結果も出てくるだろうと危惧していたのである。
 予感は当たった。冒頭のキックオフリターンTDだけでなく、ファイターズにとっては不本意なプレーが続出した。
 それでも、QB斎藤の落ち着いたプレー、LB吉原の鮮やかなインターセプトTD、鷺野主将の95ヤードキックオフリターンTDなど、経験豊富な4年生の活躍でペースをつかみ、試合は37−28の勝利。しかし、それを喜んでいる場合ではないのはチームの誰もが感じていたようだ。
 試合後、長いハドルで鷺野主将が厳しい檄を飛ばしていたのがその証明である。普段の試合なら、比較的短時間でハドルは解かれるのだが、あの日は違った。次の試合に備えて他校の選手がグラウンドで練習を始めてもなおハドルは解けず、幹部からの厳しい指摘が続いた。
 記者団に囲まれた鳥内監督も厳しい表情。「今年のチームは」という質問に答えて「仲良し」と一言。4年生の仲が良いのはいいけど、厳しさが足りないと補足し「ごめん、次は頑張る、じゃすまない」「秋になったら次はない。練習から、どうすんねん、と考えてやらんとあかん」と、奮起を促していた。
 こんな風に書いていくと、ファイターズにとっては「しょうもない試合だった」と思われるかもしれない。もちろん、そんなことはない。よい方の予感も結構当たった。
 一つは、前回のコラムで活躍すると予想した2年生RB橋本の奮闘である。昨年はJVの試合にちょこっと顔を見せただけの選手だが、ファイターズの水にも慣れたのだろう。180センチ、80キロの身体を生かして、再三相手守備陣を突破し、12回のキャリーで65ヤードを獲得。タフなところを見せた。TDも2本。「ラインのみんなが開けてくれた穴を走っただけ」という謙虚なところも好感が持てる。
 どちらかといえば、小柄で俊敏なRBが中心のファイターズとって、久々に当たって走れるRBの登場である。まだまだぎこちないところもあるが、13年卒の望月君のような当たりの強さを身につければ、大いに期待できる。望月君より足が速いのが心強い。
 もう一つは守備ラインの踏ん張りである。先発メンバーが顔をそろえていた第1Q終了間際、ゴール前3ヤードから相手に力勝負を挑まれたが、LB陣と協力して4回のラッシュをすべて食い止め、得点を許さなかった。就職活動を終えてからずっと練習を見ているアシスタントコーチの池永前主将に言わせると「まだまだ弱い。もっと鍛えなければ」ということだったが、今後、大いに期待できそうだった。
 ともあれ、今季の初戦。例年通り、いいところも悪いところもたっぷり見ることができた。問題はこれからである。いいところを伸ばし、悪いところを改善する。例年、卒業生を送り出すたびにやってきた新チームの道のりを今年もまた歩まなければならない。「社会人に勝って日本1」というのなら、それを過去3年以上の高いレベルで達成する必要がある。異例ともいえる試合後の長いハドルで、鷺野主将が言ったことを全員が肝に銘じてやり遂げなければならないのである。
posted by コラム「スタンドから」 at 22:28| Comment(1) | in 2014 season

2014年04月18日

(3)知らないうちに有名人

 今日、学生会館にある東京庵に昼飯を食べに行った。だし巻き定食+冷や奴−小飯。代金650円を支払おうとしたら、レジを守るお姉さんから「いつもコラム読ませていただいてます。ファイターズの……」と声を掛けられた。
 「イヤイヤどうも……ありがとうございます」。どぎまぎしながらお礼を述べたが、最近、大学周辺でこんなことがよくある。試合会場で学生部の職員さんから「コラムの大ファンです」と言われ、ツーショットに収まったことがあるし、保健館で担当の看護師さんから「いつも愛読しています」と言われて驚いたこともある。
 大学の正門前にあるスパゲッティー屋のオーナーシェフやチョコレート専門店の経営者、それに仁川駅前の西村接骨院の院長らとも、コラムが縁で挨拶を交わすようになった。そしてついに、今季の授業には「あのコラムを書かれている先生に教えてもらいたいと思って」という学生まで現れた。
 えらいこっちゃ。かねがね「文章を書くことは、自分の恥をさらすこと」と、自分に言い聞かせているが、それにしてもなあ。コラムを読んでいただけるのはうれしいけど、そしてちょっぴり誇らしいことではありますが、ここまで世間が狭くなると……。
 もう本屋さんで立ち読みをすることも出来ないし、もちろん若い女の子と歩くなんて、とてもとても。有名人の不自由さがよく分かる、というほどのことはないか。
 まあ、これまで通りぼちぼちやりますわ。せっせとグラウンドに足を運び、練習を見て選手の動向をチェックし、試合の観戦記を書いていきます。
 さて、あす19日は待望の今季初戦。慶応との戦いである。見所はひとつ。どんな選手が今季の新戦力として活躍してくれるか、である。
 正直に言って、これは先週の紅白戦を見ていた感想でもあるが、春先の練習を見てきた限りでは、昨年の立命戦から甲子園ボウル、ライスボウルへと続く過酷な試合を戦った選手と、それ以外のメンバーには、明らかに違いがある。これは4年間と限られている大学の課外活動の宿命でもあるが、いつの年でも、卒業生の抜けた穴は大きい。ことしは攻守ともラインの多くが卒業しただけに、余計にそのことを感じる。
 加えて昨年は、甲子園ボウルやライスボウルで多くの主力選手が傷ついた。その面々の多くがまだ調整途上にあるから、シーズン当初は満足のいくメンバーが組めない可能性がある。それは半面、新しい戦力が続々と飛び出してくる可能性があると言うことだが、そうは楽観できない。昨年までスカウトチームの仕事に徹して、ほとんど出場機会のなかった選手が、学年がひとつ上がったからといって、昨年の先発選手と同様の活躍が出来るほどこの世界は甘くない。
 残念ながら、先日の紅白戦をみても活躍が目立ったのは、昨年も試合に出ていたメンバーばかり。なかでただ一人、2年生QBの伊豆が物怖じしない試合運びで可能性を感じさせてくれたが、肝心のパスを受ける方が今一つ。まだまだ練習が必要なことを見せつけただけに終わっている。
 だからこそ、新しい選手の台頭が待たれるのである。初戦の慶応大戦では、その一点に絞って観戦したい。幸いなことに楽しみな選手はいっぱいいる。攻撃のラインは全員が要注目だし、RBにも生きのよい走りをする2年生が二人いる。大柄な方が橋本、小柄な方が松本だ。体形では二人の中間に位置する伊豆も、経験豊富なレシーバーが出場してくれば、その真価を発揮してくれるだろう。
 ディフェンスではラインの松本、浜の巨漢コンビが要注目。スピードのある大野、パング、岩田の2年生トリオの動きからも目が離せない。2列目にはまとめ役の3年生作道のほか、とてつもない選手になりそうな予感のする山岸、西田という2年生コンビがいる。そしてDBには、梅本弟や小池、伊藤ら動きの素早い面々が控えている。
 これらの新しい顔が昨年までの1本目のメンバーとそん色のない動きをしてくれるかどうか。
 僕の目には、まだ昨年の甲子園や東京ドームの試合の残像が残っている。その残像を吹っ飛ばしてくれる新メンバーの活躍を期待したい。試合は午後2時キックオフ。さあ、何をおいても王子スタジアムに集合しようぜ。
posted by コラム「スタンドから」 at 18:05| Comment(2) | in 2014 season

2014年04月12日

(2)先輩たちの胸と背中

 先週末は2日連続、上ヶ原のグラウンドが外部チームにも開かれた。
 土曜日には、第1回世界大学選手権の代表に選抜されたチームとパナソニックの合同練習。日曜日にエレコムファイニーズとファイターズの合同練習があった。
 とくに土曜日は、普段、僕たちがその素顔を目にする機会のない立命館や日大、関大など大学フットボール界を代表する選手と、毎シーズン、社会人トップの座を競っている選手たちの練習である。興味津々で眺めた。
 代表チームは、今春、各大学を卒業したメンバーを中心に選抜されており、ファイターズからも昨年度の主将池永、副将池田、鳥内、友國君のほか、梅本君、上沢君、大森君、そして1昨年の主将梶原君と今度4年生になった弟の隆平君が選ばれている。他チームのことはうろ覚えだが、立命館から13人、関大と日大からも10人前後が選ばれていたと記憶している。
 文字通り日本大学界のスターが勢揃いし、目の前でパナソニックを相手に実戦を想定した練習を展開してくれた。「敵情を知る」格好の機会である。ファイターズの諸君は行儀よくスタンドに陣取り、それぞれのポジションごとにライバルチームの選手たちの動きに目を見張らせていた。
 僕もその片隅でレベルの高い選手たちの動きを目で追った。練習とは言いながら、目の前で展開されているのは実戦を想定したプレーである。受けて立つパナソニックチームも全日本代表クラスのメンバーを揃えている。ガチンコの当たりこそ抑えているが、それでも手抜きはない。主要な大学から選ばれた監督やコーチも目を光らせている。何より「本番」での先発を目指して、各選手とも真剣に取り組んでいる。
 そういう練習が2時間近く行われた。キッカーをはじめいくつかのパートではアフター練習にも入念に取り組んでいた。
 そこで、感想というか、いくつか思うことがあった。この場で書いても問題なさそうなことを二つ紹介する。
 一つは、立命や日大の選手の個人的な能力の高さに目を見張ったこと。個別の名前は分かる選手もいれば分からない選手もいるのだが、立命と日大のヘルメットをかぶった選手の動きがやたらと目についた。とりわけ立命の守備陣の動きがすごかった。よくまあ、あんな能力の高い選手を揃えたチームに「負けない試合ができたことよ」というのが正直な感想だった。
 そして、その「負けない試合」が実現できたのは、ファイターズに関係する全員が結束し、対策を練り、一瞬の怯みも隙も見せずに戦い抜いた結果だと改めて感じ入ったことである。
 もう一つは昨年、5年生コーチとして、もっぱらチームの練習台を務めてくれた梶原元主将の動きの速さである。後輩を相手に練習台を勤めていた時と、選抜チームの一員として試合で活躍することを前提にしたこの日の動きは全く違った。プレーの機会はそんなに多くはなかったが、それでも何度もパナソニックのOL陣を抜き去り、相手QBをサックする場面があった。当日の「練習MVP」を選ぶとすれば、満場一致で選ばれるほどの素晴らしさだった。
 練習後、梶原君に聞くと「ライバル校の選手たちの前で無様なプレーはできないし、パナソニックでは今季からプレーする。しっかり動けることを見せておかなければと思いました」ということだった。しかし、それは謙遜だろう。ファイターズを率いた主将として、ライバルチームの選手たちには絶対に負けられないという闘争心に火が付いたからに違いない。
 その動きを見ながら、僕は「こういう化け物のような選手に鍛えられたから、昨年のチームは立命や日大と正面から戦えるチームに成長したのだ」とつくづく感じ入った。そして、5年生が本気でチームに関わり、自分を捨てて「仮想立命」「仮想日大」の練習台に入ってくれることのありがたさに感謝した。
 今季も、希望の会社から内定を獲得し、早々に就職活動を終えた5年生がグラウンドに顔を見せ、後輩たちに胸を貸している。僕が顔を合わせただけでも、前主将の池永君をはじめ梅本君や上沢君、友國君の4人がいる。
 それぞれ攻守の柱として、昨年のチームを引っ張ってきた面々である。彼らが連日のように練習台を務め、後輩たちに動きの速さ、当たりの強さを体感させている。踏み込みの強さ、姿勢、周囲を見る目配り……。ほんの100日前まで、日本1の座をかけたチームの先頭に立って戦ってきたメンバーばかりだから、2年生や3年生はもちろん4年生を相手にしても、プレーの格が違う。
 甲子園ボウルを3連覇した喜びとライスボウルで3連敗した悔しさを身にしみて感じている彼らがこれから9カ月、5年生コーチとして練習台を務め、精神的なバックアップをしてくれる。うれしいことだ。後輩たちが大学選手権の日本代表選手として戦う先輩たちの胸を借り、背中を見て、そのすべてを吸収しながら成長してくれることを心から願っている。
posted by コラム「スタンドから」 at 21:36| Comment(0) | in 2014 season

2014年04月03日

(1)さあ、コラム再開

 桜が咲いたと思ったら、あっという間に散っていく。
 先週の金曜日、大学へ行ったときはせいぜい2分咲き。それが土曜日には5〜6分咲きになり、見た目は満開という木もあった。4月、年度替わりを象徴するような慌ただしさである。
 ファイターズの諸君もまた、慌ただしい日々を過ごしている。ライスボウルが終わり、4年生が引退して新しいチームがスタートすると同時に学年末の試験。それが終わるのを待ちかねたように2度の合宿。千刈のキャンプ場では選抜された選手たちの「サバイバルトレーニング」もあった。
 その間、中学、高等部、啓明学院のメンバーを交えたファイターズファミリー壮行会や甲子園ボウルの祝勝会もあった。3月になると、高校生を対象にした合同クリニックや小中学生を対象にしたフットボール教室も行われたし、卒業式もあった。シーズンオフ。試合はなくても、部員はみな十分に忙しい毎日を過ごしてきたのである。
 僕はその間、授業がないのを幸い、老朽化した体のメンテナンスに励んでいた。接骨院や歯科医、眼科医に通い、あれもこれもと抜本的な治療に励んだ。新聞社の先輩の送別会に長野県まで足を伸ばし、志を同じくするジャーナリストや市民運動をしている人たちと旧交も温めてきた。例年通り、昨年1年間のこのコラムと、本業の新聞社のコラムをそれぞれまとめて出版する作業も、連日の「夜なべ仕事」で仕上げたし、気の置けない友人たちと徹夜でジャン卓を囲む日もあった。
 ライスボウルの悔しい敗戦以降、断りもなくこのコラムを休んでいたけど、それなりにせわしない毎日を過ごしていたのである。
 しかし、4月である。新しいシーズンが始まる。このコラムも再開する。
 今年もシーズンの終了まで書き続けますので、ご支援、よろしくお願いいたします。
 ということで、2014年度の1回目は、昨年の「アンサング・ヒーロー賞」の話から始めたい。
 受賞者はQBの橘君。下級生のころにはJVの試合にちょこちょこ登場して、切れの良いラッシュを披露していた左利きの選手だが、4年生になると同時に、ほとんど試合には出場せず、もっぱらQB、WRのパートの練習を仕切る仕事に徹していた。
 ご存じの通り、昨年のチームの浮沈は、絶対的なエースだったQB畑君の後を誰が埋めるかにかかっていた。3年生に斎藤君、前田君、松岡君というそれぞれ特色を持った候補がいたが、春のシーズンがスタートした時点では、誰が出ても畑君の後を埋めるのは大変、という状況だった。
 そういう状況を誰よりも知っていた橘君は「後継者がいないのなら、育てるしかない。育てる役割は自分が果たす」と心に刻み、WRのパートリーダーだった梅本君と協力して懸命にその役割を果たした。誰よりも早くグラウンドに出てQBの練習を手伝い、気付いたことはこと細かくアドバイスする。
 これは、早めに練習に出てくる部員ならだれもが知っていることだが、いつも一番にグラウンドで練習を始めるのは、QB・WRのパート。中でも橘君、梅本君、斎藤君はいつも練習の一番乗りだった。橘君が斎藤君にスナップを出し、斎藤君がパスを投げ、梅本君がそれをキャッチする。そして、気付いたことは即座に指摘しあい、その場で確かめあう。
 春から夏。夏から秋。そして冬。昨年のシーズンが始まってから、終わるまで、ずっとこの関係は続いた。梅本君は「斎藤を男にする」といって頑張り、橘君はひたすらスナップを出し続けることで二人を鼓舞した。斎藤君は二人の先輩に励まされ、誰もが驚くほどの上達を見せた。
 僕は週に2度くらいしかグラウンドには顔を出せなかったが、三人のこの取り組みをずっと見続けてきた。そして、今年はこの三人が勝負してくれると確信していた。
 もちろん、コーチや監督もそれをしっかりと見ていたのだろう。橘君が「アンサング・ヒーロー」に選ばれ、梅本君は「特別賞」に輝いた。
 選手が輝くのは試合会場だけではない。本当の勝負は上ケ原の第3フィールドにある。あるいは甲山の坂道にあり、トレーニングセンターにある。そこで、高い目標を持ち、誰よりも熱心に鍛えたものが最終的に輝くのである。
 部外者にはなかなか見えないが、その取り組みを誰よりも熱心に続けたのが橘君であり、梅本君である。その取り組みをコーチや監督が曇りのない目でしっかり評価してくれた。昨年の南本君に続き、こういう部員のことをシーズンの当初にご紹介できるのは、何にもましてうれしい。
      ◇     ◇
 今年も「スタンドから」を再開します。週に1度の割で書き続けます。ご愛読よろしくお願いします。
 文中にも書きましたが、昨年のコラムを集大成した「栄光への軌跡・2013年版」を刊行しました。部員には「戦いの記憶」として贈呈しましたが、ファンの方にも手に取ってもらえるように少し多めに発行しています。シーズンが始まりましたら、グラウンドのファイターズグッズ販売所で取り扱います(1冊500円。代金はカンパとしてすべてチームに寄付します)。ご協力よろしくお願いいたします。
posted by コラム「スタンドから」 at 22:40| Comment(1) | in 2014 season