2012年09月04日

(20)鮮やかなスタート

 待ちに待った秋のシーズンが開幕した。
 今年は9月になっても暑い日が続き、雷が鳴ったり、狂ったような夕立がきたりの天候が続いているから、開幕戦もどうなることかと心配したが、試合開始前に少しばかりのお湿りがあっただけで、逆に涼しくなって助かった。心配していた雷も鳴らず、午後5時、ファイターズK三輪のキックで気持ちよく試合が始まった。
 開幕戦と言えば、選手はもちろんファンも緊張する。故障上がりの選手がどこまで回復しているだろうか、春に活躍した期待の下級生が、秋の本番になっても、のびのびとプレーできるかどうか、相手チームは初戦にどんな秘策を用意しているのか、それにファイターズは対応できるのか。考え出せばきりがない。
 試合の前々日、ともかくチームの様子を見よう、雰囲気を味わって見ようと上ヶ原のグラウンドに出掛けた。その日は、スポーツ推薦の高校生たちに受験に当たってのいくつかの注意事項を説明する日だったが、それはリクルート担当の宮本氏に任せ、僕は試合に出場が予定されている選手たちの様子や振る舞いに注目した。
 長年、チームにつきあっていると、練習時のちょっとした仕草や言動からでも、何かが伝わってくる。自信満々に振る舞う選手もいるし、何かが吹っ切れたような選手もいる。逆に、自分のプレーに確信が持てないような仕草をする選手もいるし、忘れてきた何かを取り戻そうと懸命に練習に取り組む選手もいる。その成果が試合でどのように表現されるか。どのようなプレーとなって表れるか。想像するだけでもワクワクしてくる。
 試合が始まる。最初の近大の攻撃は、梶原、岸、前川、朝倉という4年生で固めたラインが素早い動きで相手ラインに圧力を掛け、2列目の池田や小野がそのスピードでボールキャリアを仕留める。簡単に相手をパントに追いやり、自陣48ヤードという好位置からの攻撃につなげる。
 注目の第一シリーズ。ファイターズはいきなりRB望月が26ヤードを独走。しがみつく相手をふりほどき、はね飛ばしての突進だ。続いてQB畑からWR木戸への9ヤードのパスがヒット、残り17ヤードをRB鷺野がスピードで抜き去ってTD。わずか3プレー、あれよあれよという間の出来事だった。堀本もキックを決めて7点を先制。
 次の近大の攻撃では、相手がフェイクプレーを連発、一度ダウンを更新されたが、ディフェンス陣が踏ん張って次の更新は許さない。近大はパント隊形からェイクパスを放ってきたが、これもファイターズ守備陣が冷静に仕留め、逆に自陣37ヤードからの攻撃。
 このシリーズも鷺野、望月、米田のRB陣がぐんぐんと陣地を進めたが、相手守備陣の反応もよく、TDには結びつかない。それでも堀本がきっちり27ヤードのフィールドゴールを決めて10点目。
 第2Qに入ると、畑からWR小山へ22ヤードのパスがヒットしてゴール前14ヤード。ここで畑が身をねじるようにして逆サイドの木戸にパス。3人のブロックに守られた木戸が余裕でゴールに走り込んでTD。前々日の練習で何度もタイミングを合わせていたプレーが、本番で見事に炸裂した。
 ここまでは攻守とも100点満点。決めるべき選手が決めるべきプレーを確実に決めて、何の問題もなし。春のシーズンは治療に専念したライスボウルのレギュラー陣も、生き生きと水を得たような活躍で、見ている方もひと安心だ。
 次の攻撃シリーズは自陣31ヤードからの攻撃だったが、鷺野の切れのよい走りに望月の40ヤード独走などがあって、あっという間にゴール前に。だが、ここでTDを狙って走り込んだ望月がTD寸前でファンブル。ボールはそのままゴールラインを割って痛恨のタッチバック。好事魔多し、という言葉を地で行くようなプレーとなった。
 それでもファイターズの勢いは止まらない。次の攻撃シリーズでは、畑からWR大園への長いパスを通して、一気にゴール前7ヤード。ここで先ほどの汚名返上とばかり、望月が中央を突破してTD。続くファイターズの攻撃シリーズも、畑からWR横山や小山へのパスが立て続けにヒットし、仕上げはWR梅本への浮かせたパスでTD。前半を31−0で折り返した。
 後半になってもファイターズの勢いは止まらない。望月の24ヤード独走TDに続いて堀本が37ヤードFGを決める。さらには畑の控えとして2番手に登場したQB松岡がいきなり67ヤードの独走TD。中央をスピードで抜き去った見事なプレーだった。
 松岡はその後も、ランニングバックと遜色のない走りでプレーをリード。相手が彼のランを警戒していると見れば、横山への長いパスを通してTDも奪う。今季は思いの外、活躍してくれそうと予感させる見事なデビューだった。
 こうして試合を振り返れば、初戦としては上々のでき。とりわけ、これまでならFGで終わっていたような場面でも、確実にTDをもぎ取れたことは、攻撃陣にとって自信になったに違いない。
 守備陣も、故障上がりの選手が全員活躍。春の試合で自信を付けた下級生もそれに負けないほどのパフォーマンスを見せた。次々と交代選手が出て、最後は少々、ゆるんだようになったが、これも選手に経験を積ませるためには仕方のないこと。トータルで見れば「最初は緊張しましたが、1本タッチダウンをとってからは落ち着きました」という、試合後の畑選手の言葉通りの試合となった。
 次回からの試合がさらに楽しみになる。
posted by コラム「スタンドから」 at 09:02| Comment(0) | in 2012 season
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