2011年07月12日

(15)ある指導者からのメール

 コラムを書いていると、いろんな方から励ましの言葉を頂く。試合会場でもときおり、見知らぬ方から「楽しみにしてますよ」と声を掛けられる。「僕が筆者です」と宣伝しているわけでもないし、恥ずかしいから顔写真も出さず、似顔絵でごまかしているのに、どこで僕とコラムが結びつくのだろう。不思議だ。
 先日は、なんと西南学院大学の桑原監督から、ホームページの管理者経由でメールが届いた。先々週、この欄で「ひたむきということ」というタイトルで書いた文章に対する礼状である。心にしみる文面だった。それを読んだファイターズのコーチからも「人を育てる、チームをつくるという点で、教えられることの多い内容でした。ぜひコラムで紹介してください」という話があった。
 そこで、桑原監督に連絡を取り、了解を得た上で全文を転載させてもらうことにした。次のような内容である。
  ◇   ◇
 西南学院大学アメリカンフットボール部の監督をしております桑原直樹と申します。突然メールを送らせていただく非礼をお許しください。
 昨日、石井様の手になるコラムを拝読し、どうしても一言お礼を申し述べたくメールをさせていただきました。
 先日の試合では大変ぶざまな試合をお目にかけたにもかかわらず、大変温かいお言葉をいただき、面映い思いと同時に、あのような見方をしていただいたことは感謝の念に耐えません。
 実は今回、KGファイターズ様との試合を組んでいただく際に私の中で一つの葛藤がありました。毎年のように当部のOB会から「関西に試合に行って来い」との声が上がります。ですが、私自身は練習試合とはお互いのメリットがあってこそであるとの考えから、いつも躊躇していました。
 もちろん実力差もあり、本当に得るものがあるのか?費用対効果は?他に方法はないか?果たして相手の進歩に寄与できるのか?など、踏ん切りがつかない要素が山ほどあったためです。
 今回もOB会の後押しもあり、学生側から関西遠征をして一部校と試合をしたいとの要望が出されました。目的を問うと、自分たちの実力を試したいと同時に、プレーやボールに対する執着とか最後までやりきる姿勢を学びたいとのことでした。
 私は即座に「だめだ」と答えました。「最初から学ぶ姿勢で試合をするのは相手に対して失礼なことである。学ぶのではなく、試合を組んでもらう以上は相手チームの進歩に寄与しないといけない。相手以上に諦めない姿勢や最後までやりきる姿勢を見せること、また、試合に勝つことが最大のお礼である」と答え、チーム一丸となって勝ちに行く気持ちが固まったら、もう一度来るようにと伝えました。
 数日後、彼らから絶対に勝ちにこだわります、との打ち返しがあった時には、即座に貴チームへの申し込みを決めておりました。ただ、それは私にとっても非常にプレッシャーのかかる決断でした。不甲斐ない戦いをしてファイターズ様から「何しに来たんだ?もう来なくていいよ」と言われることが私へのプレッシャーでした。
 試合が6月25日に決定し、おっしゃる通り春のシーズンの最終目標に掲げることができました。それからというものは、関学JVには必ず勝つこと、少なくとも1軍を引っ張り出すことを目標に練習に臨むことができました。
 ただ、試合の数週間前に攻守の大黒柱を含む主力4名が怪我で欠場を余儀なくされ、私自身目の前が真っ暗になりました。
 それが残念でならないのですが、残されたメンバーで勝利を誓う姿を見て、今回の遠征は西南学院にとっては無駄にはならないと思いました。
 しかし、目標には遠く及ばず、44−0の大敗を喫してしまいました。そんなチームに対し、あのような温かい目で見ていただいたことについて、改めて御礼を申し上げます。心より感謝いたします。
 調子に乗って、もう一つ話をさせてください。実は6月25日は当部の創立者で(米軍を除き)九州に初めて楕円のボールを持ち込んだ末松文隆という、43歳で亡くなったOBの13回目の命日でした。学生達も知っており、試合の前日にはキャプテンを含む数人が私の知らない間に墓参りに訪れたと聞きました。初めて九州の空を飛んだボールは形見としてチームが保管しており、あの日もチームエリアのテーブルの上で後輩たちの戦いを見ていました。
 その日に石井様に褒めていただけるような試合ができたことは、チームとして、OB達にとっても非常に意味のあることでした。
 もちろん試合後のキャプテンの涙も石井様のおっしゃる通りです。
 勝負の厳しさ、今後の取り組み、見てくださる方は見てくださっていることを教えていただいたことに対し、KGファイターズ様、関係の皆様、石井様に再度感謝しつつ筆を置きます。
posted by コラム「スタンドから」 at 22:21| Comment(1) | in 2011 season
この記事へのコメント
 確かに当日の西南学院ベンチからは強烈な思いがスタンドに伝わってきました。関学の計らいで遠路はるばる関西に訪れたグリーンドルフィンズに敬意を表して、珍しくスタンド側に相手ベンチがあったので、指導者の方々の気合いや部員たちの掛け声はよく聞こえましたし、表情も見えました。
 単なる気持ち・執念だけでなく、実際パスもコントロールよくバシバシ決まってあわやという場面が何度もありました。
 ゲーム前に聖書の一節を唱えるのを皆が心静かにきいている場面も印象的でした。同じミッション系ということで、肩入れしたくなる九州のチームです。
Posted by Blue Blood at 2011年07月14日 19:06
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