負けました。今年のチームには力がある。その力を出し切れば、絶対に勝てる。そう信じ切っていた僕には、衝撃的な敗戦。このコラムを書く気力さえ失せてしまうほどのつらい結末でした。
いやな予感はありました。6日前、リーグ戦の最後に戦った関大の「負けっぷり」にあまりに余裕があったからです。前半に早々とリードされ、後半に入っても、関学の守備陣に対応できないと見ると、彼らはさっさとその日の試合の目的を変更。無理して追いつき、逆転しようとするよりも、ファイターズの戦術を見極め、弱点を探ることに集中していたかのように見えました。
案の定でした。リーグ戦最終の試合から6日後に再開した代表決定戦では、彼らはファイターズのランプレーを止めることに集中。見事な対応をしてきました。その結果、ファイターズは中央のランプレーをことごとく止められ、攻撃は次第に手詰まりになっていきます。エースの松岡君が負傷で退いた後は、ますますプレーの幅が狭くなり、わずかにRB稲村君へショベルパスだけが進むというありさまです。
もともと関大は、能力の高いDB陣を中心に、ファイターズのパスプレーに対処するノウハウを持っているようです。それは春の関関戦で、QB加藤君からWR松原君への長いパスがことごとく封じられたことをみても、証明されています。あとはランアタックを止めれば、短いパスを少々通されても、ロースコアの戦いに持ち込めると見極めたのでしょう。実際、試合後の統計をみても、ファイターズのラン攻撃をわずか26ヤードに封じ込めています。
これに対して、ファイターズの戦いはどうだったでしょう。記録を見ると、タイブレークを含め、パスは21回投げて成功15回、獲得距離は151ヤード。一方、ランは32回の攻撃で26ヤードです。関大の守備陣がファイターズのランアタックを完封したといってもよいでしょう。
結局、試合は互いにフィールドゴール(FG)で3点を獲得しただけで延長戦。互いにゴール前25ヤードから攻めるタイブレークにもつれ込みました。延長戦になると、ランプレーを完封していることが関大には自信になり、ファイターズにとっては、大いなる気がかりだったと思います。
実際、最初の攻防では、先攻のファイターズが関大のアグレッシブな守備に陣地を後退させられ、52ヤードからFGを狙わなければならないことになりました。飛距離も正確性もあるK大西君でも、この距離は厳しい。わずかに届かず、後攻めの関大が圧倒的な優位に立ちました。
しかし、この場面で主将の平澤君を中心に守備陣が奮起、38ヤードからトライした相手のFGを見事にブロックし、失点を食い止めました。
延長戦2度目の攻撃。ファイターズは加藤君から松原君へのパス、稲村君へのショベルパスで相手ゴール前2ヤード、ダウン更新まで約1ヤードと迫りました。この距離を中央のランプレーで突破しようとしますが、それが失敗。結局、FGに追い込まれます。大西君がそれを成功させましたが、得点は3点にとどまりました。逆に、関大は5ヤードのランとゴール前2ヤードに迫るパスでダウンを更新。今度は中央のランを一発で決めてTD。堂々の勝利を収めました。
試合後、鳥内監督は「僕の判断ミス(第4Qゴール前14ヤードからの攻撃でFGを狙わず、K大西君を走らせるギャンブルプレーが失敗した場面)を含め、プレー選択のミスが多過ぎました。あれでは勝てません」と述べ、悔しい気持ちを抑えきれない様子でした。
例えば、さきのゴール前2ヤード、ダウン更新まで1ヤードという場面です。中央のプレーがなぜ止められたのか。この試合でもショートヤードを何回か止められていました。別の選択肢はなかったのでしょうか。
ファイターズには加藤君という有能なQBがおり、レシーバーにも人材がそろっています。ランとパスを駆使して相手を幻惑させる多彩なプレーも持っています。なぜ、それが有効に機能しなかったのでしょうか。もちろん、そこには部外者の知りえない戦術的な状況や判断が絡み合っていると思います。結果論で言うべきことではないということも頭では理解しています。
ただ、ファイターズは、少なくともこの十数年、たとえ戦力的に劣勢を強いられているとしても、彼我の戦力や士気の高さを冷静に見極めて戦術を選び、相手に力を発揮させないまま勝機を見つけることのできるチームでした。悔しいけれど、今年はその芸が見られないままの敗退。攻守とも死力を尽くして戦ってくれただけに、心残りのある敗戦でした。来シーズンの巻き返しに期待しています。
◇ ◇
ファイターズの敗退をもって、今季の「スタンドから」は終了します。もっともっと長いシーズンになることを期待していましたが、残念です。この悔しさを抱きしめ、来年こそ、という気持ちで雌伏します。
来春、またお目にかかりましょう。ご愛読ありがとうございました。
2010年12月06日
(31)敗退
posted by コラム「スタンドから」 at 10:49| Comment(25)
| in 2010 season
石井さんが書かれている通りだと思います。
コーチ陣は、猛省し、次年度に同じ轍を踏まぬように改革を進めて頂きたいと感じる一年でした。
体を張って、ボロボロな状態で、試合にで続けた選手や、それを支えてきたご家族・スタッフの苦労を考えると、良くここまで戦ってくれたと思います。
今でも、涙が出ます。
今年は、春から、怪我人が多すぎです。また、戦術面でも、、、、、、サイドラインのコーチ陣が浮き足立ち過ぎです。学生と同じぐらいに『熱く』一年取り組まれましたか?と聞きたいぐらいです。
この試合が全てを物語っていたように見受けられます。
もう、次に向けて動きはじめています。
本当に、この試合を次に活かして下さい。お願いします。
4回生の皆様、結果は残念ですが、あなたたちの取り組みと姿勢には、本当に感動と力を貰いました。これからも新しい道で頑張って下さい。
3回生は、新生ファイターズの構築に向けて頑張って下さい。甲子園経験者はいない状態です。その白紙の状態から、新たな挑戦を期待しています。
最後に、本当に有難う!
学生だった70年代後半から関学の試合を見ています。選手個々の体格や能力では負けていても、そのハンディキャップをフットボールの理解で補ってきたのが関学だったとのイメージを持っていましたが、今回は逆ではなかったでしょうか。
今年のチームは、選手のレベル、戦力で立命、関大に劣っていると思えませんでした。これまでの伝統的なイメージなら、チャンピオンになるべきシーズンだったと思っています。
ところが、これまで関学の特徴であった頭脳、つまりゲームプランやプレーコールの面で立命、関大に追いつかれ、あるいは上回られて、伝統的なアドバンテージがなくなっていた。今回の敗戦で、それに気付かされました。
素晴らしい4年生たちのことを思うと、もったいなかったとしか言いようがありません。残念です。
07年のコーチ体制に戻しては如何ですか?
08以降、更には09年と今年とドンドン悪くなっているようで心配です。
逆に、立命・関大は年々上向いているようで、心配です。
本当に宜しくお願いします。
最終戦、わたしが最も印象に残っているのは、7番が負傷、退場して行く際に、悔しさがおさえられない表情で、また、スタンドに入ってしまう直前に心配でたまらない様子でもう一度フィールドを振り返った姿です。
こんな場面を繰り返さないよう、しっかり振り返りを、4年生も含めてチーム全体で行なっていただきたいと思います。
選手の皆さんへの「お疲れ様」という気持ちと、「なぜもうあと一歩のところで…好敵手たちとの差はいったい何なんだろう!?」という歯がゆさ・悔しさが混ざった複雑な気持ちであります。
このままでは、「3強の一角」なんて真顔で言えなくなる日が来そうで心配です。
色褪せた古豪に成り果てたファイターズなんて、ファイターズと思いたくない!でもこのままでは、入れ替え戦の心配をしないといけなくなる日がきてもおかしくない!!
こんなことを言わせてくれるなよ!!
来季は真にハングリーな戦士として闘ってください!あの07シーズンのチームのように…!
そろそろ様々な事を、少し長いスパンの視点で本当の
「ゼロ」から考え直す時期にきているような感じがして
なりません。
2年連続で苦杯をなめさせられた関大も、ここまでの
領域に到達するのには多大な時間・資金を要している
わけです。
今の関学に足りないものは何か?
それはどのようにすれば充足できるのか?
徹底的に、冷徹に、分析してほしい。
大変悔しいことではありますが、競合から学ぶ姿勢も
必要かもしれません。
そして我々、外野たるファンもチームの足らずを補う事の
支援はできないのでしょうか?
例えば、何らかの用途のお金が足りないなら、寄付を募る
ことも考えられるはず。
この荒れ地から、いかに前を向いて進んでいくのか?
チームも、我々ファンも試される時です。
ディフェンス陣は本当に素晴らしい頑張りを見せてくれました。
勝てる試合だっただけに残念でなりません。
後半に強い関学が見れなくなっていますね。
前半が終わって後半に入るまでの間に分析し、的確なプレーを送るベンチワークが関学の強みの1つだったはずです…
リーグ戦の関大戦の第3QからオフェンスのTDがゼロです。
ノーハドルでベンチからサインが送られていましたが、ベンチからのサインが遅く タイムアウトを取るシーンが何度かありました。ベンチの迷いなのでしょう。相手の出方を見てからサインを入れて…だったのでしょうが…。
関学のベンチワークの復活を期待します。
今回の試合 選手達の懸命な姿勢・気迫はスタンドに伝わりました。ありがとうございました。
個人的にはセットバックからの力強いオフェンスに来春は取り組まれてはどうかと思います。
自分は、フットボール無名高からFIGHTERSに入学し、ここまで成長してくれた皆さんと育てあげた関係者の皆さんに万感の思いを込めて拍手を送ります。
来年のことは今は云々しません。悔しさを噛み締めながら、西日本代表チームと東日本のそれがどんなゲームを繰り広げるか見届けてから、次のシーズンに思いを馳せたいと思います。
そして今回の関々戦の結果はベンチワークの分野でも「関学がずば抜けた存在では無くなった」事の証し。選手もベンチも実力伯仲、なのに「3点よりもTD狙い」が強かった様に感じます(春の日大戦と秋の立命戦しか見てませんが・・・)。
折角の敗戦です。是非「ランが完封された理由・関大のラン・ディフェンスに対応できなかった理由」をトコトン分析して頂きたいと思います。卒業される4回生の為にも、ぜひこの敗戦を生かして頂く事を切望します。そして来年を待ちます。
異論を唱える方が多い場面でも、結果が成功だったなら『よくやった。いい判断だった。』という声に代わっていたのではないでしょうか。様々な場面での選択は間違いではなかったと思います。
むしろ関大や立命館がそこまでレベルをあげていると考えるべきです。
かつてのハーフタイムを境に後半強くなるKGも、フィジカル面での劣勢(立命館・関大のレベルアップ)から後半には作戦を遂行できなくなってるのではないでしょうか。
それと選手もベンチも我々外野が知るよしもない精一杯の努力をして、試合に臨んでいるのです。
スポーツである以上、勝者敗者は必ず出ます。
アマチュアスポーツにおいて、外野が責任を追及するのはどうかと思います。
ただ、立命館や関大の存在をライバルではなく、ひとつ上のレベルと捉えていく必要があるかなとは思います。
なぜなら様々なコメントから、立命館も関大も、たとえ何回KGに勝ったとしても、自分たちがKGより格上のチームだと考えることはないだろうと思うからです。
もうこれまでの歴史を繰り返しても常勝関学をとりもどすことはできない時代にきているのだと思います。去年・今年のシーズンが常勝関学へのターニングポイントになったと言われるよう期待したいと思います。
同じように感じていた方が多くいらっしゃったのですね。しかもテンパッていたのは選手ではなくベンチ?確かにここ数年を冷静に振り返ればそうかも知れませんね。今年の悔しさは今までに無い感じです。
でもハマった時のゲーム運びはやはり見事だとも思います。特に昨シーズンの立命戦は稀に見るベンチの快勝だったと思います。問題は後手に回ったときの工夫でしょうか。
関学は何かしてくるものと思って相手も準備してくるのでその上をいくのは大変でしょうが、それをやり続けてきたのが関学ですし、がんばって欲しいと思います。
P.S. 野球で優勝を逃がし、4日の裏表でラグビーとアメリカンで優勝を逃がした関学(正確にはアメリカンは優勝ですが)、野球で優勝し、5日の裏表でラグビーとアメリカンで優勝した早大、何か皮肉めいたものを感じながら5日は早稲田一色でテレビを見ていました。
選手の皆様は既に来シーズンに向けて始動していると思いますが、KG OBとしてはまだ今シーズン、高等部のアメリカンとラグビーが残っています。未来の大学を担うのは彼らです、応援しましょう!
なにより気合で負けてた気がします
DF陣は先週と同じく抑えられたものの、OFは完全に関大にアジャストされており、全く新しい、工夫したといえるプレーが見られなかった
唯一「お?」と思ったプレーが4QのFGからのギャンブル
まさにギャンブルの名に相応しい、関学らしくない、成功率の低そうなものでした
また、ターンオーバーで奪った攻撃権をことごとくモメンタムに繋げられない攻撃陣
怪我もあったのかもしれませんが、なんとも見ていて不甲斐ない戦いぶりでした
来年こそ、奮起を期待しています!!
我思う
果敢に戦った選手の努力と純真さを
我思う
応援したサポーターの無心さと虚しさを
我思う
監督・コーチ、お疲れ様、本当にお疲れ様
今年の敗戦は確かに悔しくて仕方がありませんが、方法はどうあれ、他大学がKGに追いつけ追い越せと努力を重ねられた結果が、現在の状態に至ったと思います。
かつて京大にリーグ連覇を阻まれた時も(若かった)我々は愕然とし、嘆いたものですが、当時はそんな気持ちの中にも天晴れ京大!という思いがあった事も覚えています。今そんな思いが持てないのは我々の妙なエリート意識が邪魔をしているのだと自覚しております。
FIGHTERSを通していつまでも母校と繋がっていられる感慨が、FIGHTERSの敗戦によってよりはっきりと認識いたしました。
現役も、監督コーチ・スタッフも一生懸命立ち上がってくれると思います。見ず知らずも我々の激励に、いつも力強く、礼儀正しい笑顔で応えてくれるコーチ達を悪く思う事は僕には出来ません。
来年はやってくれますよ。彼らは、我々は関西学院なんですから。
FIGHTERSは必ず再び頂点に君臨してくれますよ。
FIGHT ON FIGHTERS!!
※管理人より
一部削除させていただきました。
本当に選手、監督・コーチや関係者の方々には敬意を表します。ただ、決定戦での明らかな判断ミスは納得できません。
なぜ、FGポジションからあえてギャンブルする必要があったのか?ディフェンスの充実ぶりからすれば6−3で逃げ切り可能と判断すべきだと思う。数年前の西京極での立命戦で失敗した1Qの2ポイントコンバージョンを彷彿とさせました。そのシーズンも決定戦で同じ長居競技場でタイブレークの末に敗退している。さらに、なぜTBで後攻をチョイスしなかったのか?明らかにTBは後攻めが有利だと素人ながら思料します。
もう言うまい、来シーズンはどのような陣容になるのか楽しみですが、とにかくクリスマスボウルでせめて関学高校が日本一になることを祈っております。
厳しい言い方になりますが、日本一を目標にしているチームが結果を出せなかった以上、批判めいたコメントがある程度寄せられるのは致し方ないのではないでしょうか(責任云々は論外ですが・・・)。
3年連続で甲子園ボウル出場を逃すのも、これで3度目、あとから振り返って「あれは過渡期だったんだなあ」と思えるような、これからのファイターズであって欲しいと願っています。
来シーズンも、といわず、オフ中も、独自の!鋭い!詳細な!コラムを期待しております!
コラムでみんなの脱力感を払拭してください!