2010年11月02日

(27)神さまが与えた試練

 10月30日は僕の66回目の誕生日。この年になったら「冥途への一里塚」というくらいで、特段の喜びはなかったけれど、関学の宗教活動委員会から「あなたの誕生日を心からお祝い申し上げます」というはがきが届いた。グルーベル院長をはじめたくさんの方々のお祝いの言葉や署名も入っていたから、喜んで頂戴した。なにより、立命との決戦を前に、こういうお祝いのメッセージがいただけることは、ゲンのよいことに思えた。
 試合開始前後に襲来が予測されていた台風も紀伊半島のはるか南を通り過ぎ、その影響もなさそうに思えた。QB加藤のパスに支障が出ないかと心配していた強風もおさまり、これまたゲンがよいと、心を弾ませながら長居競技場に向かった。
 ところが、試合が始まった瞬間、状況は一変した。相手のキックしたボールを受け、リターンしようとした尾崎が強烈なタックルを腹部に受けてダウン、担架で運び出された。リターンチームの切り札が退場し、いやな予感が漂う。
 自陣37ヤード付近から始まったファイターズの攻撃。最初のプレーは加藤からRB稲村へのパスだったが、相手守備陣にカットされて失敗。続く第2プレー、加藤からハンドオフされたボールを抱えて走り始めたRB松岡に、相手DLが強烈なタックル浴びせ、ボールをはじき出してしまう。それを立命守備陣が抑えて、ターンオーバー。心の準備が整っていなかった守備陣が相手オフェンスに対応する前に、QBに30ヤードを独走され、先制点を与えてしまった。
 苦しい。先手を取った上で、準備に準備を重ねてきた多彩なプレーで相手を翻弄するはずだった段取りがいきなり狂ってしまった。
 それでも、ファイターズは踏ん張る。次の攻撃シリーズは、松岡のランに加藤からWR松原や春日へのパス、それに加藤やQB畑のキーププレーをからませてゴール前に迫り、仕上げは尾嶋の中央ダイブプレーでTD。
 ここでベンチはキックではなく、2点を狙ってセンターがLB村上に直接スナップするとっておきのプレーを選択したが、わずかにゴールラインに届かない。
 これで歯車が狂ったのか、前半の攻撃はその後、いっこうに進まない。逆に相手に2本のフィールドゴールを決められ、13−6で折り返し。
 後半になっても、攻守のリズムはかみ合わない。DLを5人並べ、そのうちスピードのある主将、平澤をラインバッカーの位置に下げた守備陣が機能して、相手に得点機会を与えないまま試合は一進一退になったが、ここでまたファイターズに手痛いミスが出た。相手が自陣ゴール前から蹴ったパントを確保、ハーフライン付近で攻撃権を得たはずなのに、キッカーへの反則でそれを台無しにしてしまったのだ。それどころか、この攻撃シリーズを相手のTDに結び付けられ、第4Q9分29秒というところで20−6と引き離されてしまった。
 苦しい。残り時間2分30秒弱で2本のTDを奪わないと、逆転の目はない。しかし、ここで加藤とWR陣が奮起。加藤から小山、春日へのパスを立て続けに決め、残る19ヤードを再び春日へのパスでTD。K大西のキックも決まって、わずか1分足らずの攻撃で7点差に迫る。
 残り時間は1分40秒。次のオンサイドキックを決め、攻撃権を確保すれば、まだ何とかなる。この場面で、K大西が春からずっと練習してきた「一人時間差」のオンサイドキックに出たが、警戒していた相手守備陣はごまかされない。一瞬、あわてさせることはできたが、結局ボールを確保され、万事休す。そのまま試合終了となた。
 悔しい。確かに試合は終始、立命のペースだった。相手にはミスらしいミスは一つもなかったのに、ファイターズはいくつかのミスが続いた。自ら招いたミスもあったし、相手に仕掛けられたミスもあった。そのミスにことごとく付け込まれたのだから、勝てなかったのは当然かもしれない。
 いま、試合経過を振り返ってみても、相手の猛攻をよく20点で食い止めたという感想はあっても、ファイターズが付け込む隙はなかったような気もする。相手がファイターズの攻撃やキックリターンの傾向を徹底的に研究し、十分な対策を練ってきたこともよく分かった。ファイターズの攻撃が、終始自陣深くから始まったという状況から、打つ手が限られたということも理解できる。
 しかし、である。日頃のファイターズの準備と練習を見てきた立場からいえば、どこかで仕掛けるチャンスはあったはずではないかと悔いが残る。確かに相手は強かった。けれども、ファイターズも、あのような負け方をするほど弱いチームではなかったはずだ。それは、あの強力な立命の攻撃陣を食い止めた守備陣の頑張りや最終局面での鮮やかなパス攻撃が証明している。
 それだけに、あの結果が残念でならない。いまこの原稿を書いていても、心は穏やかではない。なぜ勝てなかったのか。どこに欠陥があったのか。考えてもわからない。けれども負けたことは事実である。いまは、あの敗戦をファイターズがもっと強いチームになるために、フットボールの神さまが与えてくださった試練であると受け止め、無理やり心を鎮めている。
posted by コラム「スタンドから」 at 08:36| Comment(7) | in 2010 season
この記事へのコメント
新聞で監督が、敗戦は私の責任と言うコメントがありましたが、100パーセントそうだろうか?私は選手自身の気持ちがリッツに負けていたように思えて仕方ないです。始めのキックオフで尾崎君がタックルで退場し、松岡君がタックルからファンブルさせられたのに、ファイターズがそのやられた事を取り返す強烈なタックル、ラン、など気迫が負けたいたように思えました。残り試合、部員全員でファイターズの今シーズン最高の試合を自分の為、ファンの為、必ず見せてください。お願いします。
Posted by noeのファイターズファン at 2010年11月02日 09:00
負けた原因は明確でしょう。
ファンブルでもインターセプトでもまたはパント時の反則でもないでしょう。

関学サイドとして見られている方には、なんでだ?なぜ負けた?信じられないのも当然だと思いますが、負けに不思議の負けなしとはこのことです。

ラインの力量が全く違います。
攻守ラインともに、「対抗」はできていても「圧倒」はできていませんでした。
Posted by アメフト親父 at 2010年11月02日 09:38
コメント欄に寄せられているご意見はどちらも頷けるものと思います。贔屓目に見ても『勝ちたい気持ち』が表れていたのは、残念ながらPANTHERSの方でしょう。昨年のGANGSTERSの時は、最終的に勝ちを拾えましたが、勝利の女神はそこまで甘い人(神)ではなかったということでしょう。
 言葉は悪いですが、やられた以上にやり返すぐらいの気迫を見せて相手を怯ませないと! 個人技で劣るならベンチ、スタンドも含めた総合力で挑まないと! ラインの力量差を自覚した上で、それでもかつて圧勝、辛勝してきたのがFIGHTERSでしょう。
 今までPANTHERSにしてきた勝ち方を初めてやり返された思いです。
 自力優勝の目はいったんなくなりましたが、今こそ「勇気を失うことは全てを失うことだ」の思いのもとに、あと2試合、さすがFIGHTERS!!というゲームを見せてください。PANTHERSに「ようあいつらに勝てたな」と思わせるような力強く、速く、巧いゲームを見せて下さい。
 FIGHTERSがある限り我々は応援し続けるのですから。我々の出来る事でしたらどんな事でも協力しますから。


Posted by 気持ちはいつまでも大学生 at 2010年11月03日 14:21
今の関西学生リーグは本当に面白いですね。関大を含めた3強のせめぎ合いは見ごたえがあります。実力は関学が一番でしょうが、だからといって必ず試合に勝てるわけでもなく、その緊張感がたまらないです。関大と立命の試合もいい試合になるでしょうから観に行きます。

リーグ戦での対戦はそれぞれ1度しかないのですから、勝敗なんて時の運です。関学OBとしてはファイターズに勝ってほしかったですが、ワンサイドゲームばかりの4節までの試合より、たとえ負けたとしても立命との試合の方が断然面白い。

必ず勝たなければなんて思うからミスばかりするのでは?もっとロングパス投げたりしてビッグプレー狙って観客を沸かせてほしかったですね。4Qのタッチダウンをとったドライブみたいな思い切ったプレーをもっと観たかったです。








Posted by sotaro at 2010年11月03日 23:57
点差以上に気迫で負けていた様に思います。
2年前のリッツ戦後の「やれる事は全てやった」発言から何かおかしくなって来ているんじゃないだろうか?と思います。
あの発言を容認してしまう雰囲気が選手の甘さに繋がっている様に思います。
私は3年前の立命館戦までは勝っても負けても選手達から感動をもらい試合後はスタンドで涙を流していました。
それが2年前から…
残念で仕方ないです。
Posted by たけボン at 2010年11月04日 04:26
石井さんと関係ないところで議論するのもどうかと思いますが、アメフト親父さん以外の二人の意見には、全く納得できません。Fightersは気持ちが負けていたとか、勝ちたい気持ちが表れてなかったとか言うのは、あまりにも選手たちに失礼ではありませんか?あれだけ頑張った選手たちに対して、どういう見方をすれば、そんな意見が出てくるのか、不思議でなりません。敗因は実力の差、すなわち本人も潔くおっしゃっておられるように、鳥内監督の責任、それしかないのではないのでしょうか?それとも私が甘いのでしょうか?
Posted by 平ちゃん at 2010年11月04日 09:37
私もやっと立命戦の敗戦から立ち直ります。
選手のみなさんも、気持ちも持ち直して来週の同志社戦から、公式戦はずっと勝ち続けて、新しい歴史を作ってください。ほんとお願いします。
Posted by NOEのファイターズファン at 2010年11月05日 17:15
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