選手でもなく、コーチでもないのに、同志社戦が終わってからは毎日、アメフット漬けである。土曜の夜と日曜には、立命戦の前に発行されるファンクラブの機関誌に原稿を書き(前号に続く登場。またまたテンションを上げています。乞うご期待)、今日はこのコラムを書いている。
それだけでは終わらない。毎晩、ファイターズに関係した文字を眺めないと眠れない。タッチダウン誌を読み、イヤーブックを眺め、立命のメンバー表を眺め……。寝床に入ってからも、今季のすべての試合のメンバー表を引っ張り出して「立命戦に秘密兵器として登場するのは誰だろう」と想像したり、第3ダウン・ロングの状況で、確実にファーストダウンのとれるプレーを頭の中で描いたり。ゴール前3ヤードから、必ずタッチダウンを決める秘策はないか、なんて考え出すと、なかなか寝付けない。
とうとう今日は、昼間から仕事をサボって、ずっと『Fight On, DOK!!』という冊子を読んでいた。1997年のチームに、堀口直親コーチが送り続けた「激励の文章」を、当時主務をしていた石割淳氏が中心になって、卒業10周年(少し早いが)の記念誌として発行した冊子である。シーズンが始まる前、石割氏からいただいて読んでいたが、立命戦を前に、再度引っ張り出して読み返したのである。
97年のチームはその前年まで3年間、京大と立命館の後塵を拝し、連続して3位に終わっていた。全員が「甲子園を知らない」メンバーであるという意味では、昨年及び今年と同じ状況にあったチームである。そんなチームに活を入れ、叱咤激励し、「ファイターズとはどういう存在か」「ファイターズでアメフットをすることの意味とは」と、厳しく、また愛情を持って問い掛け、選手を指導してきた軌跡が熱い文章にまとめられている。
巻末には、小野宏コーチの「59秒の真実」という、ファイターズが伝説的に語り継いでいる文章が掲載されている。
そう、ここで取り上げている97年のチームとは、甲子園ボウルで法政を相手に、残り59秒から、ライン際へのパスを駆使してロングドライブを継続。残り4秒、残り10ヤードというぎりぎりの場面から、QB高橋がWR竹部にパスを通し、奇跡的なタッチダウンを挙げて優勝したチームである。主将米澤順司、QB高橋公一、キッカー・パンター太田雅宏と、主力メンバーの名前を挙げていけば、連鎖的に次々と懐かしい名前を思い出されるファンも多いだろう。
そのときのメンバーを、コーチはどんな風に指導し、選手はどのように応えてきたか。その軌跡を振り返り、現在の4年生にそれを読ませることで「ファイターズの魂」を伝えようとして作られた冊子である。A4判、100ページ足らずだが、ファイターズの歴史を語り、その背骨の所在を明らかにし、底力の片鱗を知るには、最適の冊子である。
最初のページにいきなり「死中活あり」という見出しがある。読みすすむと「己の手で自らの道を開け」「私を捨てるというより、一度死んでご覧」「せめて潔くここで11人が死んだらどうです」「逆境に弱いのは、真実のフットボール・プレーヤーではありますまい」「腰抜けだから勝てる試合も勝てないのです」などという挑発的な言葉が並んでいる。
「あなたが変われば周りが変わる」という、当時、部室のすべての掲示物を外して張り出されていた標語も大書されている。
堀口コーチの文章がまたすごい。具体的な練習の場面、試合の場面の出来事に即して、熱く、また執拗に部員に問いかける。「本気でフットボールに取り組んでいるのか」「ファイターズの一員として戦う覚悟は出来ているのか」「これで京大や立命に勝てるのか」
細部に付いては、あえて省略するが、こんな調子で全96ページ。コーチに根気と熱気があり、選手にそれに応える覇気があったからこそ続いたやりとりだと、いま読み返しても胸に迫る。
この檄文に応えた選手たちは、見事、立命を倒し、京大を破って甲子園に出場。そこで、あの「59秒の奇跡」を実現してくれた。
さて今年。この『檄文集』を読んで精進を続けてきた選手たちは、どのように振るまい、どのように戦うのであろうか。立命戦まであと10日である。
2006年11月15日
この記事へのコメント
負けは負けとして認めましょう。「負けに不思議の負けなし。勝ちに不思議の勝ちあり。」でしょう。4年生の気持ちは痛いほど分かるつもりです。でもここで切れては来年以降に影響します。長い人生、この経験を良い糧にしましょう。
Posted by O at 2009年10月20日 10:32
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