2015年11月09日

(30)信じられない数字

 強いのか、弱いのか。スタンドから見ているだけでは、まったく分からない試合だった。7日の関大戦。試合が終わった時には、ファイターズが33−7で勝っていたから、数字の上では圧勝である。
 実際、試合後のスタッツを見ても、すべてにファイターズが上回っている。第1ダウンの獲得数は24回と13回。総獲得ヤードは442ヤード対232ヤード。ランでもパスでもほぼ相手の2倍の距離を稼いでいる。関大には2回の反則があり、15ヤード陣地を下げられているが、ファイターズはゼロ。
 こういう数字を見た人は、ファイターズが終始、主導権を握って試合を進めたと思われるに違いない。けれども、とてもとてもそんな「お気楽な」気分で観戦できる状態ではなかった。
 立ち上がり、関大陣18ヤードから始まった相手の攻撃を3&アウトで抑えたところまでは、いい感じだった。続くファイターズの攻撃は自陣46ヤードからの好位置。まずはQB伊豆からWR木下へのパスがヒットして19ヤードの前進。そこからRB野々垣と橋本が交互にボールを持ち、第4ダウンインチの攻撃も成功させてダウンを更新。次は野々垣が10ヤードを獲得してゴール前10ヤード。
 しかし、ここからの攻撃が進まず、第4ダウンはフィールドゴールを選択。ところがK西岡の蹴ったボールを相手にブロックされ、関大陣28ヤードまで押し戻される。キックの弾道が低かったのか、キッカーをガードしている誰かが突破されたのか、スタンドからではよく見えなかったが「やばい。関大は徹底的に研究している」と思わせるに十分なプレーだった。
 次の関大の攻撃は、一度ダウンを更新されたが、2度目はDL藤木、柴田の素晴らしいタックルで何とか抑えて攻守交代。自陣17ヤードから始まった攻撃は、伊豆から木下へのパス1本でダウンを更新。久々に復帰した副将はやはり頼りになる。次はまた伊豆からWR松井に23ヤードのパスをヒット、相手陣48ヤードに進む。
 パスを2本続けた後は野々垣のランとRB山本のドロープレー。途中、WR前田への短いパスを挟んで橋本と高松のラン、野々垣へのショベルパス、さらにはFB山崎、RB橋本の突破力を生かしてゴール前1ヤード。仕上げは橋本の中央ダイブでTD。パスとランをかみ合わせた攻撃が見事に決まって7−0。
 しかし、キッキングのカバーが破られ、相手はゴール前3ヤードから46ヤード地点までリターン。反撃ののろしを上げる。ここはDB山本、小池らのロスタックルで防ぎ、攻撃権を奪い返したが、次に伊豆が敵陣深く投じた長いパスが奪われ、再び関大の攻撃。関大の攻撃を断ち切ってベンチに戻った守備陣は、一息つく間もなく、再びグラウンドへ。突然の出動で、心の準備が間に合わなかったのか、相手のランとパスを組み合わせた攻撃を支えきれず、わずか7プレーで84ヤードを運ばれ、TDを奪われてしまう。
 7−7。同点という数字もさることながら、目の前で相手の破壊力のあるオフェンスを見せつけられて、これはやばいぞ、という気持ちが芽生えてくる。
 逆に関大は守備陣も勢いづいてくる。次のファイターズの攻撃を3&アウトに防ぎ、再び関大の攻撃。しかし今度は、心の準備ができていたのだろう。LB山岸のロスタックルなどで、ファイターズも相手を3&アウトで退ける。
 自陣23ヤード、前半残り時間は2分21秒。ここからファイターズの華麗なパス攻撃が始まる。木下、松井、亀山への長短織り交ぜたパスを次々にヒットさせ、あっという間にゴール前9ヤード。前半残り時間はほとんどなかったが、伊豆が8ヤードを走り切ってTD。時計は残り3秒を指していた。
 しかし、キッキングチームは不安定なまま。この場面でもTDの後のキックをブロックされ、得点は13−7。とてもリードしているという実感は持てないまま、後半戦に入る。 第3Qは関学のレシーブ。ここはWR池永の好リターンで自陣46ヤードからの攻撃。橋本、高松のランで陣地を進め、敵陣32ヤードからまたも松井に22ヤードのパス。難しいコースだったが、余裕で確保し、ベンチを奮い立たせる。前半終了間際の緊迫した場面で、23ヤードと13ヤードのパスを確実にキャッチしたのとあわせ、スーパー1年生としての存在感を見せつけた。
 ゴール前8ヤードからの攻撃はランを3度止められたが、第4ダウンの攻撃で伊豆が5ヤードを走り切ってTD。リードを広げる。しかし、この場面でもPATが蹴れず、またもや得点は6点のまま。
 第3Q10分32秒にもファイターズは伊豆から前田への15ヤードのパスを通して加点したが、この場面ではキックを蹴る選択をあきらめ、野々垣のランで2点を追加した。プレーが成功したのはうれしかったが、PATを蹴るのをあきらめるというのは、まさに異常事態。長い間ファイターズの試合を見てきたが、過去にも例のないことだった。
 結局、この日はゴール前5ヤードからのフィールドゴールを1回試みて失敗。PATのキックも4回のうち3回失敗している。相手チームが十分に研究してきていることは割り引いても、理解に苦しむ状況である。キッカーの状態が悪かった、ということだけではなく、システムや習熟度に問題があったとしか考えられない。その証拠に、キックオフカバーも、終始不安定だった。この数年間、卓越したキッキングゲームで相手を圧倒してきたファイターズを見てきた人間としては、目の前の惨状が信じられなかった。
 得点は33−7。圧勝だが、まったく勝った気がしないというのは、ここに原因がある。この点にどうメスを入れるか。シーズンが終盤になったいまでは、できることは限られているだろうが、何とか手を打ってもらいたい。
 次の立命は、攻守とも関大をさらに上回るメンバーを揃えている。打倒関学、に燃える気概も並々ならぬものがあると聞いている。そういう難敵に対するに、不安を抱えたままでは戦えない。何とかしてくれ、と祈るばかりである。
posted by コラム「スタンドから」 at 20:32| Comment(3) | in 2015 season
この記事へのコメント
確かに関大戦は勝ったからよかったようなものの恐ろしい試合であった。過去に経験のないキックの失敗。最後はもう入るような気がしない状態であったが、見ているみんなが「きっと入らないよ!」と思っていたら、その通りになってしまいました。素人の私が見ている限りでも、弾道が低すぎる!これは以前からであるが、そのことを関大が見逃すはずはないですよね。それでも立命戦の前で本当によかった!京大に続き関大もKGファイターズに大きなことを教えてくれました。もしかして立命が「余計なことをしてくれた」と思っているかも?と勘ぐってしまいました。
Posted by saka49 at 2015年11月10日 04:42
この時期に、多くは申しません。すべてはファイターズ皆さん一人ひとり全員が自覚しているはずの事ですから、、、
ただ、これだけは述べさせてください。
最大の強敵である立命館パンサーズも、傍から見ている者たちと違い、これまでの一戦一戦が薄氷を踏む思いで、戦ってきたということです。
「あれが、関学が相手だったら絶対に完敗していた。」何度もパンサーズのメンバー全員が口を揃えて、試合後に述べていたコメントです。
この思いは、ファイターズの皆さんも全く同感でしょう。11/22(日)決戦です。頑張ってください。。
Posted by ファイターズの皆さんへ、、 at 2015年11月10日 13:50
 次節はリーグ7戦目、無事通過して12月に王子スタジアムで再会することを信じています。次戦の相手QBは試投の少ない分投げ捨ての殆ど見られない、即ち、通す意思で投げるパスの割合が高いので、パス時の色々な特徴[癖]が垣間見えます。ラン主体の序盤に比べ、パスを意識し出した中盤以降、段々露わになってきました。たぶん来年も主力で出てくるだろうので、ASメンバーに地道な努力を期待します。
 順序が逆になってしまいましたが、関大戦はいつも通りハーフタイム後も落ち着かない心境でした。相当研究されているのは様々な面で見られました。大事な局面で相手攻撃を止め、得点できて安堵しました。大型ラインに当たることができたのは今後の血となり肉となっていくことだと思います。GO FIGHTERS!
 
Posted by Blue Blood at 2015年11月10日 16:42
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