2008年07月07日

(12)厄介な相手

 「それにしても、厄介な相手だなあ」
 ニューエラボウルを観戦中、終始、そんな芸のない言葉が頭の中を走り回っていた。それほど、立命の選手たちの動きが目に付いた。
まずはディフェンス。ゲームを支配するという言葉がぴったりのDL久司。近年のファイターズでは最強のDLだった石田力哉の全盛期と比べてもひけをとらないような速い動きと強い当たりである。それを隣からフォローする武知の突破力にも目を見張らされる。2列目の39番と99番の動きにも切れがある。ときたまのブリッツが威力満点だ。そしてDBの今西。彼もまたスピードがあって、当たりが強い。こんなメンバーが束になって襲いかかってくるのだから、ファイターズにとっては厄介というしかない。
 オフェンスの面々も、この上なく厄介だ。スピードがあって身のこなしが軽快なWR呉田を止めるのは至難の業に思えるし、RB松森のスピードには、彼が1年生の時から苦しめられている。QB松田はパスに威力があり、カバーするのは難しそうだ。それ以上に難儀なのは大型ライン。試合中、立命のラインだけで固めた場面が何度かあったが、なかなか割って入るのは大変そうだった。
 もちろん、関大や同志社、京大や近大のメンバーにも、目に付く選手は少なくなかった。とくに試合の終盤、じりじりと陣地を進め、最後に逆転のフィールドゴールを奪った関大のオフェンスには目を見張った。先日の関関戦では、ディフェンスの完成度の高さを見せつけられ、結局3点しかとれなかったが、今度は攻撃の面でも、相当警戒が必要なことを印象づけられた。
 毎年、このオールスター戦では、普段、あまり見ることのできないライバル校の選手たちの仕上がりを見るのを楽しみにしている。しかし今年は、そんな気楽なことを言っておれないほど、彼らのすごさが印象に残った。グラウンドで戦った選手たちは、もっともっと強烈な印象を受けたのではないか。
 もちろん、関学から選出された選手たちもしっかり戦ってくれた。
 守備では早川主将が鋭い出足で相手オフェンスを崩し、QBサックなど好タックルを重ねていたし、DB徳井もボールのあるところに必ず飛び込み、厳しいタックルを連発していた。DB深川の動きも軽快だったし、LBの坂戸や古下もときおり、目を見張るようなプレーを見せてくれた。
 オフェンスもがんばった。弱い弱いと言われ続けてきたラインも荒牧、新谷、村田で固めた左サイド(右サイドはほとんどが他大学の選手だった)はしっかりしていたし、QB加納も落ち着いたプレー。RB稲毛のドロープレーで陣地を稼ぎ、短いパスで活路を開いていた。あれだけ強力な守備陣を相手に、混成チームとしては堂々の戦いといってもいいだろう。スタンドから見ていた感想にしか過ぎないが、気心の知れたファイターズのメンバーで戦えば、もっともっと力を発揮できそうな感触があった。
 ともかく、春のシーズン最後の試合は、大きな収穫があった。ライバルたちの実力の一端を肌で感じることができただけでも、貴重な体験である。彼らが「打倒ファイターズ」を合言葉に、懸命に取り組んできたことも、その仕上がりの早さから実感できた。
 問題は、ライバル校の選手たちの春の成果を目のあたりにして「負けられない」「ぼやぼやしてはおれないぞ」と何人の選手が思ってくれるかである。
 この試合には、グラウンドで戦った選手だけでなく、ファイターズのすべての部員が応援に駆けつけていた。シーズンになれば、他校の選手たちの動向はビデオでしか見ることのできない選手たちにとって、目の前で繰り広げられるライバルたちの動き、想像を絶するほど参考になったに違いない。
 それを「すごいなあ」で終わらせてしまっては、進歩がない。「どうしてあのような素早い動きができるようになったのか」「あの強力な当たりに対抗するにはどうすればよいのか」と考え、自らその答えを探り出すことによって、初めて勝利への道筋が見えてくるのである。
 シーズン開幕まで2カ月足らず。立命との決戦まで4カ月半である。いや、まだ4カ月半も残されていると言い換えてもよい。どのチームにとっても、この時間は対等である。その時間をいかに効率的に使うか。いかに実りの多い時間にしていくか。しっかり考え、実行し、遅れを取り戻してほしい。
 そして、秋には「ニューエラボウルで、攻守ともに素晴らしいプレーを見せて頂いたおかげで勝てました」と言うような感想を聞かせてもらいたい。
posted by コラム「スタンドから」 at 07:47| Comment(0) | in 2008 season
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