2008年06月30日

(11)多士済々

 先日のイワタニ戦を、王子スタジアムで観戦できた人は、幸せだったと思う。ファイターズの未来を担う1、2年生が次々と登場し、それぞれ非凡な才能を見せてくれたからである。攻撃も守備もキッキングチームも見応えたっぷり。どこから紹介すればいいか、迷ってしまうほどだ。
 まずは攻撃から紹介しよう。先発メンバーを見て驚いた。WRの金村(4年)、勝本(3年)を除いて全員が2年生である。ラインは左から宋、光山、村田、高田、酒井と並び、TEは垣内。WRは上記の2人に尾崎が加わり、QBが加藤、RBが久司である。それぞれ、少しずつは試合に出たことがあるが、ラインの先発全員が2年生というのは、今季初めてである。
 このメンバーで、つい先日までファイターズで活躍した石田や市村、諏訪らが顔をそろえるイワタニのDLの突進を受け止められるだろうか、ボコボコにされて、加藤がけがするようなことになったら大変だ、と心配したのはしかし、杞憂だった。全員、一丸となって踏みこたえ、堂々と立ち向かった。相手の突破を許し、QBが追い回されるような場面は少しもなかった。OBの諏訪君が試合後、ファイターズラインの印象について「とにかくしつこい。下へ下へもぐってくるので、やりにくかった」と話していた通り、体格差を執拗なブロックでかわし、QBを守り抜き、RBに走路を切り開いた。
 途中から交代出場した1年生のライン谷山(関西大倉)、浜本(箕面)、TE松田(高等部)らも、いつの間に交代したのかと思うほど、スムーズにチームにとけ込んでいた。
 WRで目立ったのも正林、春日、渡辺(飛)らの2年生。それぞれ走力があるので、一発タッチダウンの威力を秘めている。それにTEの垣内、浜崎が器用なキャッチを見せ、攻撃の幅を広げている。
 RBとなると期待の星がずらり。88ヤードのパントリターンタッチダウンを挙げて度肝を抜いた1年生の松岡(高等部)は、秋には確実に戦力になるだろうし、味方の不用意な反則でTDは取り消されたものの、70ヤード以上を独走した久司の走力にも目を見張らされた。北村や稲村らもこれから伸びてくるにおいがぷんぷんしている。
 QBも加藤が終始安定したプレーを見せてくれた。まだ数試合しか出ていないのに、ずっとスタメンで出ているような雰囲気を醸し出している。レシーバーがはじいたボールを相手にキャッチされる不運なインターセプトが2本あったが、潜在能力は僕らが想像する以上にありそうだ。4Qになって登場した1年生糟谷(星陵)も堂々のデビュー。いきなりスナップをファンブルしたりして緊張は隠せなかったが、それでもこともなげにパスを投げ分け、4本中3本を成功させた。走る場面がなかったのが残念だったが、走力もあるので、これからぐんぐん伸びてくるだろう。
 守備も宝の山である。この日登場し、活躍した1、2年生の名前を列挙すると、1列目は2年生の村上、1年生の東元(関西大倉)、好川(高等部)、長島(佼成学園)ら。それぞれ素早い動きが持ち味で、相手オフェンスに圧力をかけ続けた。
 2列目、3列目にも人材は豊富。2年生の善元や三木はもう押しも押されもしない先発メンバーだが、それを追う人材がまた多士済々。2年生の福田、西岡、渡辺(駿)、西山らはいつでも交代出場ができそうだし、1年生にはもっと可能性を秘めた選手がいる。パントのカバーで、何度も相手パントをブロックする寸前まで詰めていた香山(崇徳)、鋭い出足でインターセプトを奪った降梁(高等部)、LBの辻本(高等部)らである。
 忘れてならないのが、キッカーの1年生、大西(高等部)。昨年まで同じポジションで大活躍した大西史恭君の弟だが、彼のキックが素晴らしい。飛距離は出るし、正確だし、冷静だし。この日も、きちんとフィールドゴールとTFPのキックを決め、おまけにWRとして出場した場面では、余裕でパスをキャッチしていた。このまま鍛錬を怠らなければ、兄を上回るキッカーになるのではないかという期待さえ持てるほどだ。
 こうして、名前を挙げて行くだけでもワクワクしてくる。彼らが期待通りに成長してくれれば、ファイターズの選手層は、一気に厚くなるだろう。
 けれども、残念なことに、彼らが実戦で経験を積む機会は、驚くほど少ない。春のシーズンはもともと試合数が限られており、その試合に出場できるのは、どうしても1本目の選手が中心になるからである。春先は体力づくりが中心で、実質的には5月からしか試合が組めない。大学の前期試験が7月なので、6月末には春のシーズンを終えなければならないという制約もある。
 この状況を打開するため、JV戦をもう何試合か多く組めばどうだろう。1本目のチームが試合をする同じ日に、その前座として別のチームとJV戦を組むのである。コーチやスタッフは大変だろうが、そうでもして実戦の機会を増やしていかなければ、多くの才能を持った選手が実戦の経験を積めないだろう。
 ファイターズは選手だけで140人もいる大所帯である。そのレベルを上げ、試合でしか学べないことを身につけさせるために、来季は是非対策を考えてもらいたい。
posted by コラム「スタンドから」 at 07:13| Comment(4) | in 2008 season
この記事へのコメント
 近年のファイターズは大所帯になり、それぞれの学年、またはポジションで激しい競争を勝ち抜かないと、試合に出場できない状況だと推察します。
 レベルの高い競争を勝ち抜いた選手がグラウンドに立つわけですから、ファンの立場からすると、チーム内に競争原理が働くのは心強いのですが、プロではなく学生スポーツであることを考えると、学生のモチベーションを保つために出場の機会を創出する必要があり、コーチの方は頭を悩ませているのではないでしょうか。
 特に1、2年生は、経験の中で自分を成長させるという意味でも、試合でプレーする機会が与えられた方がよいと思います。JV戦を組めばどうか、という石井さんの提案には賛成します。
Posted by 応援してます at 2008年07月01日 01:35
私も同感です。他校なら、即、スタメン可能な人材を豊富に抱えているのですから ある意味、もったいないとも 思います。実戦経験を通じて 彼らのタレントが発揮され、より、磨かれるものと信じます。是非、JV戦を増やして欲しいと思います。その経験があれば、秋の定期戦でも、一本目に何かあっても すぐに、2本目・3本目がカバーしてと、より、強力な軍団になるのでは?また、1本目にも 良い意味でプレッシャーにもなりましょう。あわせて、この、JV戦には、上級生をコーチとして起用してはとも 思います。法政のように、学生だけにゲームプランを考えさせたり、それによって、1本目も、より、客観的にプレーを体感し自らのプレーの理解度upに繋がるのでは?ちょっと欲張り過ぎでしすかね・・・
by 目標・全試合観戦・関東在住熱血ファン
Posted by 萩原 義晴 at 2008年07月01日 21:23
スタメンとしてフィールドに立ててない選手は,スカウンティングチームでレギュラー相手に頑張っているのだろうと想像しています。ファイターズのスカウティングチームの実力は侮れないでしょう,きっと。JV戦を増やすのもよいのですが,相手チームの了承の上でが必要では。
Posted by ドロップゴール at 2008年07月03日 07:50
 FIGHTERSほど平等に出場機会が与えられるチームはないと思います。昨季もメンバーの殆どが出たゲームをこのブログで拝見しました。圧巻だったのが'04.秋の第5戦で攻撃陣がユニットで交代していた事は、記憶に新しいです。WRが8軍まであるとか、選手数が膨れ過ぎたのでリストラをしたとかというチームもあり、大所帯は大変です。KGは晋三主将時、部員が200名を超えていたのも思い出します。少なくとも機会は平等なのが良いですが、ベンチでの役割分担も含め、その理想に最も近いチームがFIGHTERSだと感じます。
 石井さんのJV戦案には大賛成で、関学第3フィールドに足を運ぶ機械が増えれば嬉しい限りです。
 PS.先発が負傷欠場したからやっとゲームに出場できた、なんて例もあまり聞きません。絶対的エースが少ないのもFIGHTERSの特長で、指導者の方々の腐心されている様子が目に浮かぶようです。
 長くなりました。すみません。
Posted by Blue Blood at 2008年07月05日 10:31
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