2006年10月18日

(26)3年生の力

 今季のファイターズは、先発メンバーに4年生が少ない。先日の関学−近大戦の先発メンバーを見ても、攻守とも4年生は3人ずつしか出ていなかった。オフェンスではラインの白水、生田にRBの古谷。ディフェンスはLBの橋本、DBの岡本、藤井。
 この話は、ファンクラブの会報(次号に僕の観戦記が掲載される予定。乞う!ご期待)にも少しばかり書かせてもらったが、4年生に故障者が増えているのか。それとも下級生の力が伸びて、4年生からポジションを奪っているのか。下級生に注目して関学−近大戦を観戦した。
 結論からいえば、下級生が力を付けている。というか、3年生や2年生が4年生のつもりで試合に臨み、4年生のような活躍をしているのである。
 それを証明する象徴的なシーンがあったので紹介したい。
 先制しながら、近大の矢継ぎ早の攻撃で7−7に追い上げられた直後の第1Q9分過ぎ。近大のキックしたボールを榊原(3年)が自陣20ヤード付近でキャッチし、そこから一気にゴール前数インチまでリターンした場面である。ボールを確保した時点では、相手のキッキングチームが殺到していたから、いかにセンスのある榊原であっても、リターンは難しそうに見えた。ところが、あれよあれよという間に相手を交わし、気がつけば一気に左サイドライン沿いを駆け上がっていた。多分、萬代(3年)だったと思うが、ブロックもしっかり決めていたので、相手はリターンタッチダウン(TD)を逃れるのが精一杯だった。
 このプレーを見ていたほとんどの人は、榊原のリターンはすごい、と舌を巻いただろう。その通りである。けれども、僕はそのすごさ以上に、彼の試合に臨む「意志」の強さに感動した。自分の所へ飛んできたボールは、何が何でもリターンするんだ、という強い「意志」であり、自分のプレーで試合を動かすんだ、という明確な「意図」である。
 ブロックに行った萬代のプレーにも「意志」が感じられた。ボールをキャッチしたのは榊原、ならば俺は確実に相手をブロックして彼の走路を確保する、という意志である。初戦の神戸大戦で彼が90ヤード近いキックオフリターンTDを決めたときに、榊原が確実に相手をブロックし、萬代の走路を確保したのと、ちょうど逆のパターンだった。
 リターナーに並ぶ3年生WR2人が期せずして見せてくれた明確な意志。それは「4年生に甲子園に連れて行ってもらうのではない。俺たちが甲子園に行きたいんだ」という意志である。それは榊原や萬代だけではない。今季、グラウンドで戦っている3年生が共通して発しているメッセージである。
 この日の最初のTDパスをキャッチしたTEの韓。守備の要として強烈なタックルを連発し、ファンブルリターンTDも奪ったLB佐藤。時にはDE、時にはLBの位置から素早い突っ込みと強烈なタックルで相手QBを悩ませるDL國方。毎試合、絶妙のキックでフィールドを支配しているK大西。そして、初戦から不動の主戦QBとして勇気と知恵を振り絞っている三原。そういった面々である。
 誇張した表現かもしれない。僕が勝手に思っているだけかもしれない。でも、僕は、彼らが代表する今季の3年生の動きを見るたびに「俺たちは甲子園に行きたいんだ。俺たちがみんなを甲子園に連れて行くんだ」というオーラを感じてしまう。そして、そのオーラが4年生に刺激を与え、2年生や1年生にも感染して、チームの力を日々伸ばしていると、僕はにらんでいるのである。
 4年生の白水と生田を中心に、春とは見違えるような安定感を見せているOL、相手ディフェンスが待ちかまえているど真ん中に飛び込み、駆け抜けていく4年生RB古谷と川村。2年生ながら、DLの中軸としてチームを引っ張る早川。彼にあおられるように試合ごとに成長を見せつけている同期のDL黒澤、荒牧、川島。彼らの活躍が目立つのは、榊原や三原、國方や佐藤など、常時、試合に出ている3年生がそれぞれのプレーを通じて、強烈な意志、明確な意図を発しているのを受け、それに負けるモノかと発奮しているからに他ならない。
 ファイターズは4年生のチームといわれる。実際、今季も、すべての面で柏木主将を中心とした4年生がリーダーシップを発揮し、チームを支えているようだ。だからこそ、ファイターズは試合ごとに成長しているのだろう。
 けれども、それは3年生以下が4年生に任せておけばいいという意味ではない。ファイターズのメンバーとして、フィールドに出るすべての人間には「俺たちがみんなを甲子園に連れて行くんだ」という強い意志を、プレーを通じて表現する義務がある。それを表現しているのが榊原や三原であり、今年の3年生のすごさである。
 次は関大戦。これまた強敵である。強敵を相手に3年生や2年生がどんなパフォーマンスを見せるか。4年生がどうリーダーシップを発揮するか。次回はその辺に注目したい。
posted by コラム「スタンドから」 at 11:19| Comment(5) | TrackBack(0) | in 2006 Season
この記事へのコメント
4年生がどうということはありませんが、私は関学高等部の日本一メンバーが多く在籍する3年生・2年生のプレーに感動させられることが多いです。(勿論 高等部以外から入部されて活躍されている選手もたくさんおられます) あの雨の立命宇治戦と味の素スタジアムでの日大三高戦の接戦を制した彼らには伝統のKGセンスを感じることが多く そんなプレーには思わず拍手を送ってしまいます。是非是非、甲子園を現実のものにして欲しいと切に念じる今日この頃です。
Posted by #28 at 2006年10月20日 04:13
この時期に、石井氏がどういう意図で書かれたのか?よく理解できないが・・・。下級生の気持ち、そして4年生の覚悟等、何も理解しておられないように感じる。フィールドに活躍する選手は、ほんの一部である。4年生でそこに立てない選手には、怪我が思うように治らない、実力的に下級生の方が優れている・・・様々な思いがあるはず、スタッフにも様々な思いがある。しかし、各々が同等に必死で勝利のために頑張っているのである。その、誰が欠けてもダメであり、そして、各々が互いを尊敬し、感謝もしている。深い信頼でそれは成り立っている。フィールド上でプレーする選手だけに注目されるような発言は、このHPに、コラムまで投稿されている方にしては、ファイターズのメンバーに対して、あまりにも、失礼なように思うのだが。
Posted by 橋爪健二 at 2006年10月25日 21:51
私は石井さんが下級生の気持ち、そして4年生の覚悟、控え選手、マネージャー、スタッフ等、裏方で支えている人たちの気持ちを十分に理解した上で、毎回コラムを書いておられるのがよくわかります。そして毎回、何人かにスポットを当てて、その人のトピックスを短い限られたスペースの中で、書いておられるのだと思います。
Posted by サラサラの髪の父 at 2006年10月26日 17:58
橋爪さんと同じ気持ちは、私の脳も通過しました。でも、冷静になってみると、石井さんぐらいスタッフや選手たちに顔を覚えられている外部の人間はいません。それくらいKGグラウンドに「通勤」(無論対話も)してます。4年生に失礼かもというのは十分念頭におかれての文面と私は感じてます。4年生も石井さんの言質からネガティブなものを感じたらそれすらを受け入れられるくらいの器量と冷静さをを持ってほしいと思います。石井さんも橋爪さんのご意見をマンマ受け止めてください。ノーブル・スタボネス!
Posted by 老馬 at 2006年10月27日 01:45
石井さんのブログを5月からずっと読み続けているものです。スターターとして活躍されている選手だけでなく、控え選手にも、気をつかって書かれているのが私には理解できるのです。9月25日付け(21)「甲子園で校歌を歌う資格」のコラムでもこう書かれてあります。

「向畑も谷越も4年生。でも、試合ではほとんど見かけない選手である。しかし彼らは、グラウンドに登場したその瞬間に、記憶に残るプレーを演じてくれた。 これが素晴らしい。ファイターズは、控え選手もスタメンの選手も一緒に戦っている。そのことを証明したのが、70人以上が出場したこの試合であり、期待に応えて活躍した控え選手である。彼らのプレーを見ながら、こういうチームにこそ勝ってほしい。彼らにこそ、甲子園で高らかに校歌を歌う資格があると思った。」
Posted by アウンサン・イースーチー at 2006年10月27日 07:08
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